『徒然草』の「堀池の僧正」をご存知の方なら、この噺の題名を聞いてピンときたのではないでしょうか。お察しの通り、例のあの話です。
「堀池の僧正」をご存知ない方のために、話の筋を簡単に紹介すると、サクランボの種を食べた男の頭から、にょきにょきと大きな桜の木がはえてきて、皆がその下で、ドンチャンドンチャンとにぎやかに花見を始めます。うるさがった男が桜の木を引き抜くと、後にはポッカリと大きな穴が。この穴に雨水がたまり、いつしかフナだのドジョウだのがすみつきます。すると、子供が釣りに来て、朝から晩まで笑ったり、泣いたり、わめいたり。中には石を放り込んだりするものまでいて、こううるさくちゃ、たまらないと、男は頭の池にドブンと身投げするという、実にバカバカしく、くだらない話でして、洒落っ気というものを解さない人には、なにが面白いのかさっぱり分からず、ポカンとすることになります。
そう言えば、この噺の題名は「あたま山」ではなく、「あたま池」というべきではないかと言い出す人がいましたが、いやはや。