[][目次]

ぶっつけ

 日本に限らず、どうも人間はアルコールなしにはいられないようでして、まぁ、適度なお酒は、体にいいそうなのですが、なかなか「適度」なんて言ってられないもので、ついつい度が過ぎるものです。ちなみにかくいう僕は、すぐに酔っぱらってしまいます。ここの紹介文のいくつかも酔っぱらって訳が分からなくなりながら書いてるものもあるほどでして……

 お酒に酔うと、普段の癖が出るもので、これが上戸と言われるものです。俗に、居眠り上戸に薬上戸、壁塗り上戸に仏上戸、笑い上戸。まぁ、笑い上戸というのは陽気でよいものですが、これも時と場合によりけりです。僕なんかも経験があるのですが、これは無性におかしくなります。大したことがあるわけじゃないのですが、やれ猫が盛ってるとか、お巡りさんが交通整理をしてると言っては笑い、ケンタッキー・フライドチキンの人形が真っ白だと言っては囃し立て、挙げ句の果てには、隣の人の顔を見て転げ回ると、これなんか大変失礼な話です。いやはや、全く正気の沙汰ではございません。

 とは言うものの、アルコールが入れば、絶対に酔うというものではないようで、やはりその場の雰囲気や気分に大きく左右されるようです。気のおけない友人達と、鍋でもつつきながら、馬鹿話をしたり、歌ったりしてると、ひとなめした程度で酔えるものですが、これが分不相応の料理屋なんかだと、なんとなく店の雰囲気にのまれて、ちょっと酔えません。ましてや、目上の人や、ご婦人のお供なんかでは、めったやたらと酔えないものでして、酔いが回る頃には帰りの列車の中、なんてことになります。おかげで、列車を乗り過ごしたり、反対行きの列車に乗って、終点で慌てふためくなんてこともしばしばです。もっとも、女性と一緒といっても、ひそかに好意を寄せている女性でしたら、酔った振りをして、よろけてみたりするのですけれど。ただ困ったことに、酔った振りのつもりが、いつの間にか本当に酔っ払ってしまって、前後不覚なんてことになって、翌日、何度ホゾを噛むことになったか、数えればきりがありません。

 などと話していたら、すっかり長くなってしまいました。もう、居酒屋を紹介するスペースがありません。申し訳ありませんが、ここまでと言うことで。


[][目次]