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間抜落

この噺は間男を逃がしてやるお話です。

「おう、熊さん。よく来たなぁ。まぁ、あがってお茶でも飲んでいきなよ。え、俺? あぁ、俺っちは酔ってるよ。酔って悪いかい? 悪くない? 悪くないけど、押し入れの前で座ってることないだろうだと。てやんでぇ、ここは俺の家だ。どこに座っていようと俺の勝手だい。まぁ、いいや、それで何しに来たの。間男を逃がしてきた帰り? 相変わらず、熊さんはマメだねぇ。で、どうやったの? 酔っぱらって押し入れの前でへたりこんでる亭主の頭から風呂敷をかぶせて、あぁ、なるほど、これは見えない。それで、押し入れをすーっと開けて、押し入れの中にいる男に『早く出ろよ。忘れもんすんじゃないよ』と言ってやった訳か。出て行ったことを確認して、押し入れをサーっと閉めて、風呂敷を取る。なるほどねぇ。うまく逃がしたなぁ。」


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