お金持ちが骨董屋で、青磁の香炉を求めます。店の者は、まず5万円のものを見せ、次に8万円のもの、さらには10万円のものを見せます。客がもっと高いものはないかというので、5万円の品物を箱だけ変えて15万円で売りつけた。品物の良い悪いなんか分からなくて、ただ値段さえ高ければいいというバブル全盛の頃の話でございます。
侍が、花活を買いに古道具屋にやって参ります。いろいろと見て回ったあげく、「しびん」に目を付けます。田舎侍ですから、「しびん」を知りません。変わった形をしていると面白がり、5両もの大金を出して買い求めます。
買う方も買う方ですが、売りつける方も売りつける方。ともあれ、騙されたことを知った侍は、怒って店に駆け込んできます。しかし、古道具屋に病身の母親がいることを知り、そのまま帰ってしまいます。
これを聞いて、
「さすがお武家様だね。普通なら、『命は助けてやるから、金を返せ』と言い出すもんだよ」
「小便はできない。なにしろ、溲瓶は向こうにあるんだから」