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途端落

 いつの時代も男性は女性に惚れられていると思いたいもので、吉原の女性はそうした男性の心理を巧みに操り、「あなたのことが好きになったの」とか、「一緒になりたい」など、あのてこの手を使って虜にしていく訳です。

 ところで、その昔、起請というものがありまして、これはどういうものかといいますと、神に対して誓う誓約文のことで、吉原にいる女性なんかは、「年季があけたら、あなたのところに行きます」という誓約書を好きな男に送っていたのだそうです。さて、この起請を3人の男が同じ女性からもらったから、さぁ大変。

 もちろん、むこうは商売。本気にした男性の方が間抜けなのですが、そうだと分かっていても悔しい。ひとつ懲らしめてやれってことになりまして、3人そろって女のところに押しかけます。

 落ちは、嘘の起請を書くと熊野神社のカラスが3羽死ぬと怒られた女性が、
「あら、そう。それならあたしは、いっぱい書いて、世界中のカラスを殺すよ」
「そんなに殺して、どうすんだい」
「朝寝がしたい」


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