【目次】
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要望のポイント
ゲームソフトの著作権保護
ネットワーク取引の法的整備
このページは、自民党商工部会知的財産制作小委員会等合同会議の業界ヒアリングの際の提出資料を元に加筆修正を行ったものです。
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ゲームソフトに代表されるマルチメディア・コンテンツは、従来の「言語の著作物」「音楽の著作物」「美術の著作物」「図形の著作物」「写真の著作物」「プログラムの著作物」といった個別の著作物を組み合わせることによってできている。しかし、マルチメディア・コンテンツの最大の特徴は、こうした個々の著作物に分解できるものではなく、それらの総体として1つの著作物を形成しているという点にある。
現行の著作権法では、上記のような性格を持つマルチメディア・コンテンツについて、必ずしも適当な規定がなされていない。そのため、中古ソフト問題などに代表されるように、マルチメディア・コンテンツの著作権法の解釈をめぐる混乱が生じている。
従って、今後の日本のコンテンツ産業の育成については、法の整備が必要であり、特に以下の点について早急な取り組みが必要になるものと思われる。
マルチメディア・コンテンツが複数の著作物の集合でありながら、個別の著作物に分解することができないという性格上、著作権法に新たな規定を設ける必要がある。
マルチメディア・コンテンツは、デジタル著作物であることから、基本的に劣化せず、複製が容易であるという特徴を持つ。同時に、マルチメディア・コンテンツの開発には莫大な資金と労力が必要であり、利用と制作のバランスをとった形で、著作権法の整備を行う必要がある。
インターネットの普及は、マルチメディア・コンテンツの発展に必要不可欠であるが、その事は同時に、国内だけでなく各国の協調がなければ、著作権保護を難しいものとする。特に、東南アジア諸国は、日本のマルチメディアコンテンツの市場としても非常に有望であり、同地域での著作権法の整備を働きかける必要がある。
インターネットの普及は、ゲームソフト産業の発展を考える上で、大きなインパクトを持つと予測される。しかし、ネット上での取引等に関する法的整備は欧米に比べて立ち後れているのが現状である。特に下記の事項について、早急な対応をとる必要があるものと考える。
ネット上での取引等が円滑に行われるために、関連する法律の整備が必要になる。特に、契約の成立時期、契約の効力、取消の効果について、従来の法律では必ずしも現状にあわないため、この点の整備を行う必要がある。
ネットワーク上のコンテンツビジネスでは、著作物の保護がなされていることが発展の条件となる。しかしながら、違反に対する監視体制、罰則、責任の所在などに関する規定が、現実の状況に十分対応できていない。この点に関する法的整備を行う必要がある。
インターネットを利用したビジネスは、国内だけでなく海外市場にも直接展開できる。したがって、上記の法整備は国内の特殊事情を考慮しつつも、できうる限りグローバルスタンダードなものになることが望ましい。同時に、各国でも同様の法整備がなされるよう働きかける必要がある。