ゲームの国際競争力について


目次
 このページについて
 ゲーム制作・流通に関する事業の国際競争力について
 ゲーム産業が発展するための必要要素
 コンテンツのニーズ予想
 コンテンツ産業振興策において政府に望むこと


【このページについて】

 このページは、マルチメディアコンテンツ産業のニーズを的確に把握することを目的とした日本システム開発研究所「マルチメディアコンテンツ産業振興のアンケート調査」に対する回答に加筆・訂正したものです。これでゲーム産業のニーズを的確に把握できるかどうかは、神のみぞ知るといったところでしょうか(無責任)。ミスリードしないように、上司が的確なチェック・修正をしてくれていることを期待しています(ますます無責任)。
 このページの内容について質問・苦情等ありましたら、冨倉雅也までメールを下さるようお願いします。


ゲーム制作・流通に関する事業の国際競争力について

 日本のゲームコンテンツが、国際競争力を持っている背景には、大きく分けて次の3つの要因があると考えられる。

 第1に、ハードウェアメーカーとソフトウェアメーカの関係が、健全なことが挙げられる。ハードウェアメーカーは、ソフトウェアの成果物に適切なスペックを持ったゲーム機を開発・提供し、ソフトウェアメーカーは、ハードウェアのスペックに適したゲームソフトを制作する。その結果、魅力あるソフトウェアがハードウェアの普及に貢献し、普及したハードウェアは、ソフトウェアに新しい市場・販売機会を提供する。PCを主とする海外のゲームの場合、PCのハードウェア性能の発展とソフトウェア上の技術革新が、比較的独立した関係にあることと対照的である。

 第2に、コンテンツの無国籍性ないし多国籍性が挙げられる。ゲーム内の背景世界、キャラクターの描写など、日本のゲームは、異文化を巧みに吸収し、文化的な摩擦を生じずに海外のユーザーも楽しめるものとなっている。

 第3に、日本のゲームは、子供から若い世代までが楽しめるものとなっており、それぞれの世代間がシームレスな点が上げられる。例えば、アメリカのゲームの場合は、レイティング制度にみられるように、内容において年齢間の断絶がみられるが、我が国の場合、レイティング制度を適用せずとも、大人から子供まで楽しめるゲームが多く、この点も海外において受け入れられやすい一因となっているものと考えられる。


ゲーム産業が発展するための必要要素

 まず流通の多様化が必要になる。特にコンピュータネットワークのインフラ整備が進み、コンテンツのデータ配信が現実的なものになった場合の製造コスト・流通コストは、ドラスティックに低下するものと予想される。また、ネットワーク配信が可能になれば、海外市場への進出も非常に容易になり、海外競争力は今以上に高まるものと考えられる。

 第2に、著作権・特許の法的保護の整備も重要な点である。デジタルデータであり、マルチメディアでもあるゲームのコンテンツは、既存の著作権・特許権では十分な法的保護が必ずしもできない。コンテンツの使用権に関する法的整備を行い、メーカーが安心してデータ配信を行え、なおかつユーザーも自分が入手したゲームを安心して楽しめる法的枠組みが必要になるものと考える。


コンテンツのニーズ予想

 ゲームに限らず、デジタル・コンテンツは、ネットワーク上で利用されることによって、コンテンツの価値は飛躍的に高まる傾向にある。ゲームの場合、ネットワーク配信だけでなく、インタラクティブな利用、不特定多数のユーザーによる同時的な利用など、ネットワーク上での展開は様々なものが考えられる。

 そのためにも、セキュリティ保護がなされていて、かつ高速なデータ配信技術の確立が必要になる。また、マルチプラットフォームに対応でき、なおかつ高速な動作が実現できるプログラミング言語の仕様の開発、あるいは高速で安定したプロトコルの技術も求められる。


コンテンツ産業振興策において政府に望むこと

 コンテンツ産業は、通信文や・通商分野・著作権分野にクロスオーバーしている。そのため、既存の郵政省・通産省・文部省の縦割り行政ではなく、産業政策においては関連分野の密接な連携が必要になると思われる。

 また、コンテンツの開発においては、いわゆるストックよりもキャッシュフローの方が必要であり、従来的なハードウェアを担保とする融資制度ではなく、ソフトウェアの資産仮を正しく評価し、政府として民間のモデルケースとなる融資制度の確立も必要である。


とみくら まさや(vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date: 2000/02/04 $