著者 | 筒井康隆 | ||||
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タイトル | バブリング創世記 | ||||
出版社 | 徳間文庫 | 出版年 | 1982年 | 価格 | 340 |
評価 | ★★ |
ドンドンはドンドコの父なり。
このフレーズに「わけわからん」と首をひねる人と、狂喜乱舞してしまう人。恐らく2派にぴったりと分かれるのではないでしょうか。ちなみに僕は後者です。
中学、高校と少しばかり背伸びしたがった僕にとって、筒井康隆はある種のカルトの教祖のような存在でした。同じような好みを持った友人と集まっては、「読んだか?」「読んだ」「イヒヒ」「ケケケ」と非常に怪しい時間を過ごしていたことを懐かしく思い出します。
などと、懐古している場合ではなく。
筒井康隆は、本人が望むと望まざるとを問わず、カルト的な集団の核となってしまうのではないかと思います。それは彼が先駆的なことを手がけているからだけではなく、彼の作品の中に論理性と非論理性が矛盾なく同居している点にもあるのではないでしょうか。また、彼は情緒的なものを作品に持ち込まず、それでいて作品の対象として情緒的なものを扱う(したがって、どちらかというと、ウェットなものを小馬鹿にする立場になるわけですが)点も、なにかと情緒に流されやすい日本の社会に対して、背を向けたがるある種の人々(僕もそうした内の一人ですけれど)に歓迎されるのでしょう。
これ以上したり顔で筒井康隆論を展開すると、「馬鹿で〜」と声が聞こえてきそうなので、よしますが、最後に一点だけ。
延々と続くかのように、何々が何々を生みと続けてきたところで、筒井康隆は、こう締めくくります。
貧困、信仰を生み、信仰、神を生めり。
僕の宗教に対するスタンスは、こんなものだったりします。