著者 | 山際淳司 | ||||
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タイトル | スローカーブを、もう一球 | ||||
出版社 | 角川書店 | 出版年 | 1985年 | 価格 | 430 |
評価 | ★★★★★ |
マスコミの悪口を言うと、色々と支障が出るのでしょうが、それでも言いたい。
「なんだ、そりゃ」
あるいは、
「言いっぱなしかい」
僕はマスコミが嫌いです。マスコミという伝達手段も嫌いだし、マスコミ的な人も嫌いです。彼(彼女)らが僕の意見を代弁してくれていたなんてこと、一度もありません。彼らの個人的な意見を聞いて、感心させられたこともありません。それなのに、ミョウな使命感をふりかざして、熱っぽく取材し、暑苦しく語るわけで、そういう現場を見るたびに、ケッという気分になります。
他方、僕はジャーナリストは好きです。特にプロ意識を持っているジャーナリストの仕事に接すると、僕まで気が引き締まります。
山際淳司は、僕の好きなスポーツジャーナリストの1人でした。彼は、取材対象と自分自身の位置関係を適切に保つジャーナリストでした。取材対象を自分の側に引き寄せることも、突き放すこともせず、また、自分自身が取材対象にのめり込むこともない数少ないジャーナリストでした。
当たり前のことのようですが、取材をする側は、自分の結論を取材される側に押しつけてはいけないし、また、相手の考えを鵜呑みにしてもいけないと思います。僕自身は、ジャーナリストであると主張するのであれば、最低限クリアしておいて欲しい能力の一つだと考えています。ところが、これができない自称「ジャーナリスト」が、本当に嫌になるくらい多いように僕には思えます。そんなわけで、最近、ますます僕のマスコミ嫌いは悪化していたりします。
いい人は早く亡くなり、やなヤツばっかりはびこると言いますが、山際氏の早すぎた死は、日本のスポーツジャーナリズムにとって、大きな痛手だと思います。ホント、もったいない。
ともあれ、僕の経験から導き出したいい「記者」かそうでない「記者」かの見分け方。
「自分は、○○さん(有名人)と親しい」
「この前、○○さん(有名人)に会った」
こういうことを言う記者の取材は、たいてい時間の無駄になることが多いようです。