著者 | 湯浅健二 | ||||
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タイトル | サッカー監督という仕事 | ||||
出版社 | 新潮社 | 出版年 | 2000年 | 価格 | 1400 |
評価 | ★★★ |
サッカーを観戦するなら、スタジアムに行くべきである。
などと、偉そうな書き出しで始めてみましたが、僕はまだ2回しか足を運んだことがありません。1回は、一部リーグに昇格する前のパープルサンガ(当時は紫光クラブ)の試合、もう1回は、母校立命館大学の試合だったりするわけで、はっきりいって大したことありません。
当時の立命館大学は、古田・長谷川を輩出した野球部、学生界で無敵といわれた京大を破って学生チャンピオンになったアメリカン・フットボール部こそ人気がありましたが、サッカー部は、関西学生リーグの二部リーグで勝ったり負けたりを繰り返しているという、はっきり言って弱小チームでした。法学部の入っている存心館の前がグランドになっていて、彼らはそこで練習をしていたわけですが、それは本格的にサッカーをやっていると言うよりも、サッカー好きが集まって適当にボールをけっているという同好会に毛が生えた程度のものでした。
僕が試合を見に行ったのも、決して熱心なサッカーファン・母校愛というような高尚な理由ではなく、適当な映画もコンサートもなく、少々マンネリ気味だった彼女とのデートで、本当に偶然といった程度でした。試合場には応援団こそいたものの、観客もちらほら、明らかに僕たちと同じように、行くところもなく、たまたま来てしまったという人がほとんどでした。
試合の内容は、ボールに選手がわーっと集まるというトータルサッカーと言えば聞こえはいいものの、実際にはアマチュアによくあるものでしたが、そんな中、一人の選手を見つけました。彼は、見方がボールを奪うと、空いたスペースに走り込み、見方がボールを奪われると、今度はフリーになっている相手選手をマークするため、全速力で自陣に戻るということを繰り返していました。
最初は、冷やかし気味に見ていた僕たちも、次第に「なにやってんだ、彼にパスを出してやれ」と入れ込み、彼にボールが渡り、見事なセンタリングが出ると、思わず拍手したりしていました。
その試合、健闘むなしく、立命館大学は2−3で破れましたが、その後、立命サッカー部は、二部リーグでは負けなしとなり、一部リーグに昇格しました。その時の牽引役になったのが、その試合で懸命に走っていた選手だったのだそうです。
Jリーグが、低迷している原因は、色々と挙げられていますが、個人的にはメディアが、あまりにもサッカーを知らなさすぎることも大きな原因になっているのではないかと個人的には思います。サッカーの面白い部分、ボールを持っていない選手が相手ディフェンダーを誘いだす動きをして、ポイントゲッターのマークを軽くするとか、ディフェンスラインが乱れたときに、中盤の選手が巧みにスペースを消し、再び最終ラインを立て直すといった部分をうまく伝えられていないのではないかと思います。
> この本は、サッカー監督(コーチ)の役割を書いた本ですが、是非、サッカーを伝える仕事をしている人たちにも読んで欲しいものになっています。少なくとも中田に馬鹿にされたくないのなら。