著者 | マクファーソン、ギアーツ、マン、ゲルナー | ||||
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タイトル | 国家はどこへゆくのか | ||||
出版社 | お茶の水書房 | 出版年 | 1984年 | 価格 | 2000 |
評価 | ★ |
1984年。まだ世界は国家理論を必要としていた時代でした。少なくとも当時の国際関係論の中で、国家は主要なアクターとして位置づけられていました。また、政治学においても、国家論は、統治論(作用論と言い換えてもいいのかもしれませんが)の前提として論じられ、社会学においてさえ、社会に対置するものとして国家が論じられていました。
そこでは、国家とは何か、どのような権利(power)を持ち、その権利は何に根拠づけられるのかが問われていました。
本書は、ホッブズ等に代表される統一的な国家論の現代版の必要性を否定する点で、画期的でした。しかしながら、国家の脱構築にまで議論を進められなかったという点で、限界を持っています。
僕自身は、国際関係論の主要なアクターとして各種の非国家アクターが登場している現在、過程論的な国家論研究はひとまず横に置き、もう一度統一的な国家論を構築する必要があるのではないかと考えています。もっとも、それが、結果的に国家の存在を肯定するものになるのか、否定するものになるのかは、今現在の僕にはわからないのですが。