著者 | I.イリイチ | ||||
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タイトル | 生きる思想【新版】反=教育/技術/生命 | ||||
出版社 | 藤原書店 | 出版年 | 1999年 | 価格 | 古本屋で購入 |
評価 | ★★ |
コンピュータは、文字で考えるというこれまでの思考様式を変化させるのだろうか。
確かに、手書きからコンピュータに移行することによって、文章の作成方法は変化したかもしれない。しかし、思考まで変化したかというと僕には分かりません。また、仮に変化したとして、そうした変化が好ましいことなのか、好ましくないのかも、今の僕には分からないというのが正直なところです。
実際、自然崇拝の根底にナチズムに通じる精神世界が存在していること、言い換えれば、僕が最も忌み嫌う全体主義的な思想と自然崇拝者の共同体志向が、実は同じコインの裏側に過ぎないのではないかと考えている僕のような人間にとっては、イリイチの問題提起が妥当なものなのかどうか、疑問を持っています。
しかし、イリイチの教育論・技術論を僕が否定しきれないのは、僕自身が、現状の技術先行的な文明論を、それほど楽観的に受け入れられないからです。
ただ、僕は結論を急ごうとは思いません。ゆっくりと考えていけばいいと思っています。イリイチが正しいのか、ビル・ゲイツが正しいのか、それとも両者ともに間違っているのか。のんびりと見ていこうと思います。こういう考えは、日和見的だと自分でも思いますけれど。