著者 | スタニスワフ・レム | ||||
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タイトル | 虚数 | ||||
出版社 | 国書刊行会 | 出版年 | 1998年 | 価格 | 2400 |
評価 | ★★★★★ |
何とも不思議な本です。
本書には、様々な本(しかも実在しない本)の序文・あとがき「だけ」が書かれています。
この奇妙な小説(これを小説と読んでいいのなら)は、一部で長く伝説となっていました。僕自身、この本の存在を知ったのは、メタ文学にのめり込んでいた時期の筒井康隆のエッセイかなにかだったということもあり、この本が本当に存在するものなのかどうか、実は疑っていました。実際に本書を手に取り、読み終えた今も疑念が完全に晴れたわけではありません。まだ僕の中には、本当にこれはスタニスワフ・レムが書いたものなのか、そもそもスタニスワフ・レムというポーランドの作家は実在するのだろうか、本当はこの本は、訳者を自称している長谷見一雄、沼野充義、西成彦という3人がでっち上げたものではないか確信が持てないでいます。
しかし、これがでっち上げであれ、なんであれ、面白いことには変わりないわけで、久しぶりに
「負けた」
と思わされる一冊でした。