著者 | 塩野七生 | ||||
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 賢帝の世紀 ローマ人の物語IX | ||||
出版社 | 新潮社 | 出版年 | 2000年 | 価格 | 3000 |
評価 | ★★★★★ |
塩野版ローマの歴史も、いよいよ五賢帝時代にまで到達しました。
五賢帝時代というと、歴史の教科書では、古代ローマ帝国の最盛期と教えます。
ところで、最盛期とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
単純に考えれば、この時代の後は悪くなる一方と言うことなのかもしれませんが、それではあまりにも後知恵的です。むしろ個人的には、
「何もしなくとも物事がうまく進む時期」
と考えています。より突っ込んで言えば、
「何もしないことこそが、物事をうまく進める要因になっている時期」
と言えるのかもしれません。
このように言うと、五賢帝時代の皇帝達は、何も新しいことをしなかった凡庸な人物という誤解を与えるかもしれませんが、恐らくそうではないのでしょう。「何もしなくていいときに何もしない」というのは、かなり難しいことです。
実際、世の中には、やるべき時にやらない穴埋めとでも言いたげに、やらなくていいときにやらなくていいことをしてしまう人�