著者 | 村山哲治 | ||||
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タイトル | 実践!One to Oneマーケティング | ||||
出版社 | IDGジャパン | 出版年 | 1999年 | 価格 | 1500 |
評価 | ★★ |
真面目な読書家であれば、憤慨するんだろうなと思うのですけれど、僕の本の読み方というのは、目次や索引から必要な部分だけを拾い読みすることが多かったりします。以前であれば、専攻していた専門分野の本、今なら仕事関係の本って、ほとんどの場合、最初から最後まで読むようなことはなかったりします。
この読後感想では、
だけを掲載するようにしていて、「必要なところだけを読んだ」本は、読後感想を書かないようにしています。割合で言うと、このページで紹介する本1に対して、拾い読みする本が6くらいでしょうか。
ともあれ、本書は僕が珍しく最初から最後まで読み通した仕事関係の本です。
内容は、今流行のWebサイトを利用したコンシューマ向けビジネスに関する実践書となっており、一通り読めば、Webサイトを有効に活用した One to One マーケティングの概要が分かります。
ただ、どうなんでしょう。
One to One マーケティングの根幹が顧客毎にカスタマイズされた商品・サービスの効率的な提供を行い、市場シェアではなく顧客シェアを獲得する点にあるという著者の主張はもっともなのですが、現状の情報技術で、果たして本当に顧客毎のカスタマイズは可能なのかという点に僕は大きな疑問を持っています。現状ではまだ、セグメントをより細分化できる段階に到達したのにすぎないのではないでしょうか。
第2の、より本質的な疑問。情報技術が発達すればするほど、顧客の囲い込みは難しくなるのではないか。情報技術は、まさに情報を円滑に伝達するための技術です。マクロ経済学は「合理的な消費者」を前提として成り立っています。消費者が合理的な行動をとるためには、
という2点を前提としています。これまでは、(2)の市場情報の入手について限界がありました。ところが、インターネットに代表される情報技術の発展は、この(2)の部分を解消することに役立っています。そのためインターネットを利用している消費者は、価格(この場合は、絶対的な価格だけではなく、サービスなどの価値に対する相対的なもの)に以前よりも敏感になると考えられます。情報技術の発展は、顧客の囲い込みを事実上不可能にすると考えるべきではないかと考えています。
企業(サービス提供者)は、以前以上の競争力を持つ必要があり、限られた資源をいかに有効に投入するかをシビアに判断していかなければいけないと言えるでしょう。