著者 | Mike Gancarz | ||||
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タイトル | UNIXという考え方 | ||||
出版社 | オーム社開発局 | 出版年 | 2001年 | 価格 | 1600 |
評価 | ★★ |
本書は、序文で著者自身が述べているように、UNIXの技術書ではなく、その背景にある考え方にフォーカスを当てた書籍です。
150ページに満たない小冊子ですが、巷にあふれているコンピュータ関連書籍の多くが、あくまでもハウツーをメインとしているのに対して、OSの基本的な考え方を叙述している点は、高く評価できます。また、著者が挙げるUNIXの基本的な考え方、
には共感をおぼえます。
ただ、本書はテクニカルライターが書いた文章の悪い意味での典型例になっています。
第1は、比喩を多用することによって、かえって論点をぼかしてしまっている(言い換えれば、比喩が適切ではない)。
また、上記とも関係するのですが、我田引水的な展開が目立つ。結果的に、原題の「The Unix Philosophy」とは裏腹に、単なるプロパガンダの書物になってしまいかねない。無論、「哲学」もある価値体系の優位性の表明にすぎないのではないかとの問題はあるのですが、そのために哲学と論理学は分かちがたい関係を保ちます。しかし、本書においては、小冊子であることを差し引いても、論理学上の基礎的な過ちをいくつか犯しています。
第3には、論旨が一貫していない。例えば、著者は「劣っている方が優れている」と指摘して、UNIXの優位性を強調する一方で、マイクロソフトのOSがUNIXに比べて機能的に劣っていると指摘します。これは矛盾していないのか。このような、場当たり的な論述の展開が多い。
非常に興味深い試みでありながら、以上のような問題点があまりにも目立つのが残念です。むしろ、UNIX的なプログラミングの指向性のみに焦点を当て、価値判断については読者に委ねてしまえば、非常にいいものになったのではないかと思います。
こういう路線で、マイクロソフトのオペレーティングシステムについて、誰か書いてくれないかなぁ。
参考URL:http://www.shishamo.com/‾yoshio/unixphy/