著者 | ジム・メニック | ||||
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タイトル | すばらしき友LINGO | ||||
出版社 | 早川書房 | 出版年 | 2001年 | 価格 | 940 |
評価 | ★ |
コンピュータ・プログラムの世界に、人工無脳という分野があります。
乱暴にいってしまえば、入力された言葉をもとに辞書を検索し、マッチした単語を出力する仕組みで、コンピュータとのちょっとした会話を楽しむというものです。例えばこんな感じ。
とみくら:こんばんは
コンピュータ:こんばんは
とみくら:リンゴは好き
コンピュータ:リンゴって?
とみくら:果物だよ
コンピュータ:果物って?
とみくら:おいしいよ
コンピュータ:リンゴはおいしい!
本書は、この単純な人工無脳が、ネットワークにつながることで、自分で自分のプログラムを拡張することを覚え、どんどん賢くなっていき、次第に主人公の手に負えない存在となってしまい、ついには人類を合理的にコントロールしようとするという内容です。
この種のテクノスリラーの形を借りたラッダイト運動は、人類の歴史において、忘れた頃に繰り返されるようです。特に、コンピュータについては、従来の「機械に職を奪われる」恐怖に加えて、「何をやっているのかよく分からない」恐怖もあるようで、抵抗は根強いものがあるようです。
ともあれ、最後のオチは、いくらなんでもちょっと乱暴すぎなんじゃないでしょうか。