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めいわく犬

著者モーリス・ドニュジエール
タイトルめいわく犬
出版社講談社 出版年1982年 価格980
評価★★★★

【感想】

 フランス人というのは、なんてお洒落なのだろうか。

 独身貴族という言葉がありますが、あれは一部の人のための言葉であって、たいていの場合、30歳をこして独身で独り暮らしというと、どうしようもない状態になります。室内はもちろんのこと、生活のリズムだって、あなた、それはもう目も当てられないことになります。

 もしかすると、僕だけという気がしないでもないですが、少なくとも僕の今の室内は「とっちらかっている」という以外のなにものでもありません。本が雪崩うってる状態だったりします。生活の方も同様に、休みの日なんかそれこそ午前中はベッドの中、午後の遅い時間にのこのこと起きだし、喫茶店でダラダラしてから、映画を観に行ったり、上野の公園でボーっとしたり、寄席に行ったり、本屋で立ち読みしたりして、夜遅く帰ってきて、そのあともさっさと寝ればいいものを、やっぱりうだうだして、結局明け方近くまで遊んでしまい、また翌日を迎えるなんてことをくり返しています。

 それに比べて、この本の主人公フェリックスのお洒落なこと!

 本書は、気ままに、しかし、節度ある生活を送っていた独身貴族のフェリックスが、ひょんなことから一匹のボクサー犬を預かることになってしまい、犬とのドタバタ生活に途方にくれるものの、ネロと名付けられたこのボクサー犬との友情が描かれています。

 犬好きの方には、あまりお勧めできませんが、「最近堕落したな〜」と感じている独身男性にはお薦めの一冊です。自戒の念も込めて。


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とみくら まさや (vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date : 2001.06.16 $