著者 | E.M.シオラン | ||||
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タイトル | 絶望のきわみで | ||||
出版社 | 紀伊國屋書店 | 出版年 | 1991年 | 価格 | 2000 |
評価 | ★ |
自殺をほのめかす人間を信用してはならない。しかし、一度も自殺を考えたことのない人間も信用してはならない。
本書は、若きシオランが不眠症と、それに伴う神経症で苦しめられた直後に書かれたものです。暗いです。本書のテーマは、生きることの意味について、徹底的に否定的な見解が述べられています。本当に暗いです。
もちろん、シオランの思想を僕は否定しません。「生」への否定を主題とした思想はあってしかるべきです。少なくとも、「生」を謳歌する思想のアンチテーゼとして、シオランの思想を位置づけ、それによって全体としてのバランスを取ること。ややヘーゲル主義的な発想かもしれませんが、基本的に僕はそういった対極にあるもの両方を意識していきたいと考えています。凡庸? それで結構。