著者 | 毛沢東 | ||||
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タイトル | 遊撃戦論 | ||||
出版社 | 中央公論社 | 出版年 | 2001年 | 価格 | 629 |
評価 | ★★ |
1971年生まれ。典型的なノンポリ。右であれ左であれ、極端な思想にはどうも共鳴できないのですが、それはともかく毛沢東です。
本書は、対日戦争の際に毛沢東率いる共産党が、どのようにしてゲリラ戦を遂行していくのか、また、付録として、文学や芸術を政治に利用するにはどうすればよいのかを論じたものです。今回僕が注目したのは、後者の方です。
ご存じのように最近、歴史の教科書をめぐって議論が起こっています。問題の教科書の記述の是非や議論の内容の是非については、ひとまず評価を下さないことにしまして、気になっているのは、この問題をめぐる産経新聞のキャンペーンです。
産経新聞を購読している奇特な方は少ないと思うので、概要を述べると、教科書問題に関連して、中国の歴史教育に対する政治の介入を批判的に論じる記事を、一面で展開しています。非常に乱暴な言い方をすれば、「日本の教科書問題に対してあれこれ口だしてきているけど、自分の所はどうなの?」という、子供の喧嘩以下の見解が延々と述べられているわけで、同じキャンペーンを打つにしても、もう少しスマートな方法があるだろうにと正直思ってしまいます。
と言うのも、まさに産経新聞が論じていることは、1940年代の毛沢東率いる中国共産党にとって、既に自明の理であるということ、従って、産経新聞がいくらほえ立てようと、中国にとっては「この人達、一体何を言っているのか?」と軽くあしらわれかねないことではないかと僕は思います。
マスコミの人というのは、僕にとっては、博学というイメージがあります。どうか、イメージを崩さないで欲しいと思う今日この頃。せめて基本的な文献ぐらいは押さえておいてください。