著者 | 梅森元弘 | ||||
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タイトル | 死者のホンネ 英国墓碑銘の世界 | ||||
出版社 | 主婦の友社 | 出版年 | 1997年 | 価格 | 1800 |
評価 | ★★★ |
本書は、副題にもあるとおり、イギリスの墓碑に刻まれた文言を集めた本です。
もちろん、いかにイギリス人と言っても、「ここにジョンとメアリー眠る」的なごく普通の墓碑銘を刻むのでしょうけれど、この本に紹介されているような、皮肉っぽい(時には、毒がいっぱいある)墓碑銘を刻む方もおられるようで、いやはや、イギリス人には僕が考えていた以上に皮肉屋さんが多いようです。
ちなみに、僕が気に入った墓碑銘は以下のようなものです。
【妻の立場】
あなたについて行く気はありません。
あなたがどっちに行ったか、どうしてわかるの?
【夫の立場】
この土饅頭の下に眠っているのは背中合わせになっている吾輩と女房。
やさしい旅の方よ、どうか涙は流さないで。
というのも、女房がしゃべったとしてもわしには聞こえない。
生きているときよりはるかに幸せなのだから。
がみがみ声からも口げんかからも解放されて。
最後の審判を告げるラッパが鳴り響き、女房が立ち上がっても、
わしはこのまま横になっておるからね。
【悟り】
人生は冗談です。すべてがそのことを示しています。
私は今までもそう思っていましたが、今度はそれを知りました。
【地獄の沙汰も……】
ここに眠るは医者にかかる金を惜しんだ男。そのために命を失った。
彼はまた生きたいと思うだろうよ。葬式にかかった費用を知ったらね。