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バスキア

著者ジャン=ミシェル・バスキア
タイトルバスキア
出版社角川書店 出版年1997年 価格520
評価★★

【感想】

 以前オランダに行ったとき、街の落書きの多様さに目を見張ったことを今でも覚えています。

 もちろん、日本と同じくオランダでも、ストリート・ペイントに興じる若者は、エネルギーをもてあましている不良の少年と相場が決まっているのでしょうし、彼らのことを理解できるなんてことを言い出す物分かりのよさは僕は持ち合わせていないのですが、それでも、所狭しと描かれた落書きを、しばらくの間、じっと見ていました。

 さて、バスキアです。

 バスキアの絵もまたストリート・ペイントに属するものです。それは訓練によって才能を磨いたというよりは、まさに、描きたいという気持ちを、そのまま壁に実現してしまったのが、彼の作品なのでしょう。それは「何か描きたいものがある」というよりは、「なんでもいいから描きたかったのだろうな」としか言いようがない作品です。

 絵の好みは、無論、人それぞれで、写実的な作品を好む人がいれば、抽象的な作品を好む人がいてもいいし、洗練された手法によって作られた作品もよければ、プリミティブな作品もいいものです。

 ただ、どうやら僕は、ラッセンの絵よりは、バスキアの作品の、どうしようもない暗黒面、攻撃的な側面も含めて、彼の作品に心をひかれるようです。


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とみくら まさや (vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date : 2001.09.23 $