|Home / 読後感想 | |
著者 | ギュンター・ロールモーザ | ||||
---|---|---|---|---|---|
タイトル | ニーチェと解放の終焉 | ||||
出版社 | 白水社 | 出版年 | 1979年 | 価格 | 1500 |
評価 | ★★ |
ニーチェ、ニーチェ、ニーチェと3回唱えてもニーチェはニーチェだが、マルクス、マルクス、マルクスと3回唱えると、あら不思議。スターリンに変わりましたとさ。などという冗談はともかく。
ヘーゲル、ニーチェ、ハイデッガーと続くドイツ哲学は、確かに重要なのでしょうけれど、どうも僕には重苦しすぎるように感じます。遊びの心がないというか、軽やかさがないというか。哲学に遊び心を求めるのは筋違いという人もいるかもしれませんけれど、人間は終始しかつめらしく生きているわけではない以上、哲学もそれに答えるべきではないかと思います。
もちろん、よく読めばニーチェにはある種の遊び心が溢れているのですが、どうもそれは地中海的な底抜けの解放感からくるものではなく、北ヨーロッパのどんよりとした重苦しさを冷笑するような質のもののようです。
ともあれ、本書はニーチェの肯定的な評価を基盤としてニーチェの思想を解説しているものです。一般的にはニーチェと対立する思想家としてマルクスが位置づけられるわけですが、ロールモーザが指摘するように、恐らく両者の出発点もその着地点も我々が思っている以上に近いのでしょう。両者ともに出発点として現実の否定を選び、ゴール地点として非現実的な存在を目指した点で悲劇的だっと言えるのかもしれません。
僕自身はといえば、もう少し現実を肯定的に評価する思想があってもいいのではないかと思っています。もっとも、現実の肯定からは創造的なものはなにも生まれないのかもしれませんけれど。
|Home / 読後感想 | |