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著者 | カレル・チャペック | ||||
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タイトル | いろいろな人たち | ||||
出版社 | 平凡社 | 出版年 | 1995年 | 価格 | 1200 |
評価 | ★★★★★ |
チャペックというと『R.U.R』とか『山椒魚戦争』などSF的な作品で有名ですが、なんと言ってもチャペックといえばエッセーです。
チャペックのエッセーは、エッセーのお手本のようなもので、僕自身エッセーの良し悪しの基準にしているのが、チャペックのエッセーです。
チャペックの視野の広さにも驚かされますが、それ以上に視点の高さには本当に感心します。同時に、決して問題自体に沈み込むことなく、また深刻にならずに少し肩の力を抜きユーモアをまじえて表現するチャペックの手法も僕には好ましく感じます。
チャペックを取り巻く環境は、決して楽観的に物事を考えられる情況ではありませんでした。自分の国が併合されるかどうか、しかも併合しようとしている国が、おそらくはチャペックにとって思想的にも感情的にも決して受け入れられない体制の国であったことを考えると、感情的なアジテーションに走ったとしても、誰も文句を言わないでしょう。しかし、決して一方的な主張を行わないことに、チャペックのすごさがあると僕は思います。
いろんなことを知り、いろんなことを考え、決して深刻にならず、ユーモアの気持ちを忘れない。僕には無理だとわかりつつ、こういう大人になりたいなと、割と本気で思います。
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