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著者 | ジョー・ホールドマン | ||||
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タイトル | ヘミングウェイごっこ | ||||
出版社 | 福武書店 | 出版年 | 1991年 | 価格 | 1500 |
評価 | ★★★★★ |
抜群の記憶力を誇るものの典型的な学者バカの主人公と、その美貌の奥さん、それからペテン師の三人組がヘミングウェイの消失した原稿の贋作をたくらむ。もう、これだけでも僕のような人間にはワクワクするのですけれど、そこはホールドマンです。これに歴史改変とパラレルワールドのエッセンスを加えてちゃんとSFになっているので、僕としては大満足です。
プロット的には、世俗的な欲が皆無の主人公をなんとかたきつけて一儲けしようと企む奥さんとペテン師、ヘミングウェイの贋作を作成することへの後ろめたさと知的な好奇心との間で揺れる主人公のスラプスティックなドタバタサスペンスになっています。これに、歴史改変への影響を防ぐために<ヘミングウェイ>という存在が主人公の前に現れるところから、パラレルワールドが展開していきます。
贋作を作らせまいとして<ヘミングウェイ>によって、たびたび殺されるにも関わらず、主人公は別のパラレルワールドでも前の世界での記憶を保持することによって、<ヘミングウェイ>による殺害を全て無効にしてしまいます。
この記憶の連続がアイデンティティの重要な要素になるという着想は、僕にとって非常に興味深いです。
ともあれ、SF好きな方にはもちろん、ミステリー好きな方にもお勧めの1冊です。
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