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著者 | 塩野七生 | ||||
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タイトル | 終わりの始まり ローマ人の物語XI | ||||
出版社 | 新潮社 | 出版年 | 2002年 | 価格 | 2800 |
評価 | ★★★★★ |
この巻はマルクス・アウレリウスの統治時代を中心に、彼の息子の統治、その息子の暗殺による内乱時代を扱っています。え〜っと、映画『グラディエイター』のちょっと前から、ちょっと後までの時代を扱っていると言えば、映画をごらんになった方は、イメージをつかめるのではないでしょうか。
この時代について、簡単に紹介しておくと、マルクス・アウレリウスは、「五賢帝時代」の最後の皇帝として高く評価されている人物です。さらに、哲人皇帝と呼ばれるように「文人受けする」数少ない政治家でした。これまでのローマの歴史を記述したものの中では、マルクス・アウレリウスは肯定的に評価されており、彼の死後に始まるローマの混乱と比較されることもあって、悲運の皇帝として同情される立場になることが多いようです。
しかしながら、塩野氏はそのような従来の評価にとらわれることなく、むしろローマの没落の始まりは彼の治世に起こったと断じます。
確かに、塩野氏の評価は、これまでの彼女の歴史感覚の鋭さと同様、おそらく的を射ているのでしょう。
とは言いつつ、これから始まるローマの没落は、おそらく誰にも止められなかったのではないかと僕は思います。たとえカエサルがこの時代の人であったとしても、ローマの斜陽を押しとどめるのは不可能だったのではないかと感じます。
ともあれ、塩野史観の手によっても、相変わらずコモドゥスは救われなかったのはちょっと残念です。結構、いい皇帝だったと思うのだけどなぁ。
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