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著者 | アラン・ライトマン | ||||
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タイトル | アインシュタインの夢 | ||||
出版社 | 早川書房 | 出版年 | 1993年 | 価格 | 1500 |
評価 | ★★★ |
アメリカの小説を読んで、うらやましいという気持ちになることは少ないのですけれど、こと SF だけは別です。はっきり言って、嫉妬心すら覚えてしまうほど、うらやましいです。全面に押し出す、押し出さないは別にして、科学的な面白さ(あるいはハチャメチャさ)がきちんとあるんですね。
本書は、アインシュタインが例の有名な時間に関する論文を執筆している最終に「見たかもしれない」夢の話になっています。
本書に登場する夢物語は、例えば時間が逆戻りするものであったり、時間のスピードが場所によって異なるものであったりと、それぞれの夢は短く、またそれぞれに強い関連性はないのですが、それでも物語の外にあるアインシュタインの論文を読者が意識することで、全体として一つの物語として成立しています。その意味では、サイエンスフィクションとしてだけでなく、メタ小説としても成功していると思います。
ハリウッド的なハラハラどきどき感は全くなく、ただ淡々と時間の性質についての仮定と、それに基づく世界が述べられているだけなのですが、たまにはこういうのんびりした小説もいいなと思います。
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