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著者 | マルコ・ロドリ | ||||
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タイトル | のらくらの楽園 | ||||
出版社 | 東京書籍 | 出版年 | 1993年 | 価格 | 1500 |
評価 | ★★★★★ |
イタリアというと、オランダで開かれる学術会議に出席するために立ち寄ったローマ空港での体験を思い出します。
当時、貧乏学生だった僕は、関西空港から直接オランダなんてリッチなことは出来ず、シンガポール→インド洋周り→ローマ経由アムステルダム入りという、思いっきり遠回りな飛行機にしか乗れませんでした。
確かに、一度の旅行で(もっとも、実際には旅行ではなかったのですけれど)イタリアにも立ち寄れたといえば聞こえはいいのですが、実際にはローマ空港に到着したのは
朝の5時!
しかも出立は
朝の7時!
その間、(当然の事ながら)空港からは一歩も出ることが出来ないわけです。とは言うものの、場所は空港です。店の1軒や2軒は開けているだろと思っていたのですが、
なにもやってませんぜ!
そんなのんびりとしたイタリアを舞台に、元宝石商だった老人と、脳天気な黒人、この2人の奇妙なコンビが、ある日はプロボクサー、それがうまくいかないと見ると、歌手をしてみたりと華麗(?)な転職を繰り返します。
有り体に言えば、ペテン師としか言いようがないのですが、そこには全く悪意はなく、素朴に「俺ってボクサーになれるかも」とか「ミュージシャン、楽しそう!」くらいのノリなので全く憎めません。
そんなほのぼのとした感じで物語が進んでいくのですが、そのほのぼのさの中で、きわどい話がちらほらと見え隠れします。
個人的には、深刻な話を深刻なまま語るよりも、肩の力を抜いて、何でもないようなことのように語る方が好きです。
と言うわけで、僕はこの小説が好きです。
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