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著者 | ミック・ジャクソン | ||||
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タイトル | 穴掘り公爵 | ||||
出版社 | 新潮社 | 出版年 | 1998年 | 価格 | 2200 |
評価 | ★★★★★ |
本書は、自分の公邸の地下に迷路のようなダンジョンを作った実在の貴族をモデルに書かれているのですが、そんな事実を知らなくても、独立した物語として充分楽しめます。
他の人がどうなのかは分かりませんけれど、僕が小説を読んでいて楽しい気分になるのは、すぐれたメタファーに出会ったときです。
32年間生きてきて、ようやく気がついたのですが、僕は小説に(あるいは物語にと言い換えてもいいのかもしれませんけれど)人生訓とか社会への警鐘とか、そういう小難しいものではなく、センス・オブ・ワンダーを求めているようです。
そんな僕にとって、この『穴掘り公爵』は、メタファーに継ぐメタファーの連続で、まさに
これだよ!
的なスマッシュヒットの1冊です。
しかも、使われているメタファーが、実際に何を意味するのか、決して種明かしをしない点も、いい意味で不親切感一杯で、非常にいい感じです。本書で使われているメタファーは、お見事としか言いようがないです。
久しぶりに手放しで楽しめる1冊でした。
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