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著者 | カント | ||||
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タイトル | 道徳形而上学原論 | ||||
出版社 | 岩波書店 | 出版年 | 1960年 | 価格 | 500 |
評価 | ★★ |
周囲の人がどう思おうと、これだけは断言できると思います。
僕は不道徳大好き!
非常に浅薄な考え方だと自分でも思いますが、道徳的であるということは、自分の思考や行動に一定の制約を与えることになるのではないかと思います。無論、言うまでもなく、このような態度は決して責められることではなく、むしろ賞賛されるべきことだとは思うのですが、道徳的であろうとする際に、ややもすれば、その基準を外部に求めてしまいがちなことに対して、僕自身は本能的に拒否感を覚えます。
その基準が正しかろうと、正しくなかろうと、僕は外部に自分の行動基準を委ねてしまうことに、どうも違和感を感じてしまいます。たとえ間違うことしかしなくても、僕は自分で考えたい。そう思います。
などと青っちろいことを言っている場合ではなく。
本書は、道徳と呼ばれているものの基準について述べられているわけではなく、より本質的に道徳とは何かを論じています。
とは言いつつ、今回の僕の目的は道徳とか形而上とかではなく、ドイツ人の思考方法を見てみるため。結論から言えば、さすがはカント。典型的なドイツ人らしい論理的な展開で、読んでいて思わず微笑んでしまいました。
実際、「A 故に B。従って C」的な帰納法と演繹法をうまく組み合わせた論の展開は、いかにも正確かつ厳密さを好むドイツ人らしいなと感じます。また、とにもかくにも体系化を行おうとする努力も、本当にドイツ人らしくて面白いです。
ただ、どうなんでしょうね。
学問としての哲学にとって、ドイツに舞台が移ったことは、おそらくはいいことだったのでしょうが、でも、哲学が袋小路に陥ってしまったのも、こうしたドイツ人的な精神に原因があるような気もしています。かと言って、アメリカ的なプラグマティズムも、ちょっとどうかと思ってしまうのですけれど。
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