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著者 | 宮沢章夫 | ||||
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タイトル | 青空の方法 | ||||
出版社 | 朝日新聞 | 出版年 | 2004年 | 価格 | 580 |
評価 | ★★★★★ |
宮沢章夫の本を読むのは、これが2冊目。
エッセイを読んでいて幸せな気分になれるのは、自分が感じていることを、うまく言葉に表現できないときに、ぴったりの表現をしてくれるときです。「そうそう、そうなんだよ」感覚とでも言えばいいでしょうか。
宮沢さんのエッセーは、この「そうなんだよ」度が高いです。少なくとも最近の僕は、宮沢さんが書くものに、「うんうん」と深くうなずいたり、苦笑したり、「ですな!」と納得したりすることが多かったりします。
宮沢さんのエッセーは、椎名誠のように袖をまくって「やるか、この野郎!」状態になっているわけでも、筒井康隆のように筆を折って「けしからん」状態になっているわけでもなく、かといって、原田宗典のように「困ってんですよ、トホホ……」状態でもなく、腹を立てつつ途方に暮れているような感じと言えばいいのでしょうか、シニカルとはまた違ったスタンスになっています。そんなわけで、僕の普段の感情に近いかもしれないなと思いながら読んでいます。
僕の場合、腹を立てながら途方に暮れていることは日常茶飯事で、その際、「腹は立つのだけれど、どうしたらいいか分からない」のと同じくらい、「腹は立っているのだけれど、どうして腹が立っているのが分からない」ことになっています。そうすると、「まぁ仕方ないか〜」という気分になってしまうのですが、宮沢さんのエッセーが面白いのは、この「仕方ないか〜」状態になった上で、それを茶化してしまうところです。この辺は、ヴォネガットの小説の手法に近いのかもしれません。
ぐだぐだ書いていますが、最近お気に入りの作家の一人です。
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