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著者 | 佐藤大輔 | ||||
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タイトル | 天下普請 信長新記2 | ||||
出版社 | 徳間書店 | 出版年 | 2004年 | 価格 | 525 |
評価 | ★★★★ |
佐藤大輔という作家は、不思議な作家だと思います。
この人の小説を読んでいて面白いなと思うのは、この種の仮想戦記物を書く作家にしては、俯瞰的な視点で歴史を捉えていることです。本シリーズでも、日本の戦国時代を主な舞台としながら、佐藤氏の視野は、ヨーロッパの状況まで捉えており、間接的にアメリカ大陸にまで及んでいます。視点の高さによる視野の広さは、例えば塩野七海の歴史小説にも通じるとことがあると僕は感じています。
その一方で、豊富な知識による細部へのこだわりも、佐藤氏の作品の特徴になっています。本シリーズにおいては、鉄砲が持つイメージではなく、技術的な裏付けによる当時の鉄砲の効果を元にした戦闘描写であったり、行軍速度についての蘊蓄であったりと随所に「なるほどねぇ」と思わされる情報がちりばめられています。
仮想史を扱っている他の作家が、非常に陳腐な歴史観に基づいたストーリーであったり、ともすれば「とんでも科学」になりがちになる中で、佐藤氏の作品が一線を画しているのは、このマクロ的な視点とミクロ的な視点の両方が高いレベルでバランスよくまとめられているからではないかと思います。
しかし、不思議なのは、そんなところにあるわけではありません。
どうしてこの人は、リバイバルが出せるのか!
現在、出版業界は不況だと言われています。この辺の事情については、それほど知っているわけではないので、深くは突っ込みませんが、個人的に困っているのは、
と言ったところで、結局のところ、
欲しい本を入手できない
ということに尽きます。
そんな中、決して一般受けするとは思えない佐藤氏の書籍は、どういうわけかリバイバル多いような気がします。この信長新記シリーズにしてもそうですし、レッドサン・シリーズも、新作が出るよりも、出版社を変えて新たに出されることの方が多いような印象を受けています。
なぜ?
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