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著者 | 恩田陸 | ||||
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タイトル | Q&A | ||||
出版社 | 幻冬舎 | 出版年 | 2004年 | 価格 | 1700 |
評価 | ★★★★★ |
うわー!
と言うのが読み終わった最初の感想。うまいです。でも、怖いです。でもやっぱり、うまいです。
話は、郊外のスーパーマーケットで発生した謎の事故の原因を解明するために現場にいた人へのインタビューという形式で始まります。その後も、タイトル通り、質問と回答だけで進んでいきます。これがすごくうまいです。複数の質問者と回答者が登場してきて、それぞれがそれぞれの見たことを答えていることで、全体像がなかなかつかめないという(いい意味での)もどかしさ。それが少しずつパズルのように組み合わさっていく楽しさ。組み合わさった結果、不気味な事実が浮かび上がってくる怖さ。
普通、この種の小説では、ネタをばらしてしまうと、怖さは半減するものなのですが、本書に関しては、全くそんなことはありません。何しろ信じられる存在としての語り手は一切登場せず、スーパーマーケットの中で起こったことでわかることはと言えば、「どうやら何かが起こったらしい」ということだけなのですから。
それにもかかわらず、集団パニック、オウム、当局による陰謀、被害者詐欺、新興宗教等、現実世界での何となくどんよりと横たわっている怖さを取り入れることによって、サスペンスとして非常に怖い出来になっています。
血とか、霊とか、そういうものを抜きにした怖さが好きな方にはお勧めです。
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