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著者 | 山下洋輔 | ||||
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タイトル | 新ジャズ西遊記 | ||||
出版社 | 平凡社 | 出版年 | 2004年 | 価格 | 1100 |
評価 | ★★★ |
筒井康隆さんの時代には、学生が一度は通る道として、マルクス、フロイトを挙げておられましたが、1971年生まれの典型的なノンポリ世代の僕は、そのどちらにもあまり傾倒することはありませんでした。
そんな僕が、どういうわけか心惹かれたのが、フリージャズでした。と言っても、これも心酔したと言うよりは、山下トリオの坂田さんが、たまたま僕の母校の先輩だったとか、行きつけの喫茶店の奥様がキースのファンだったとか、その辺の偶然が重なった結果、影響されてしまったということなのですけれど。
ともあれ。
音楽はもちろんのこと、山下さんの書く文章も独特の勢いがあって、演奏同様に好きです。
ごくたまに、僕の文体は誰に影響されたのかと聞かれることがあります。正直、「文体」と言えるほどのものは持ち合わせていないのですが、強いて言えば、ヴォネガットの作品を訳している時の浅倉久志さんと、この山下さんの文章に影響を受けたんだろうなと思っています。
そんなこともあって、久しぶりに本屋で見かけて思わず衝動買いしてしまった本書ですが、懐かしい気分になりつつ、一息に読めてしまいました。やっぱり山下さんの文章は面白いです。
もう1点。初めて読んだ当時は全然気がつかなかったのですが、今回読み直して、キース・ジャレットの例のライブ録音が、ケルンだったりパリだったりする理由が分かったような気がしました。フリー・ジャズは、ジャズの発祥の地であるアメリカではなく、欧州に指向していたんですね。僕の勘違いかもしれませんけれど。
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