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著者 | 網野善彦 | ||||
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タイトル | 東と西の語る日本の歴史 | ||||
出版社 | 講談社 | 出版年 | 1998年 | 価格 | 1100 |
評価 | ★★★★★ |
日本は海洋国家と大陸国家、どちらの性格が強いのだろう。
最初にそんな疑問を抱いたのは、高校生の頃だったと思います。何がきっかけでそんな疑問を抱くようになったのか、今となっては思い出せないのですが、それ以来、時々忘れた頃に浮かび上がってきては、答えを出せないまま、日々の雑事に追われて、またしばらくの間、意識の外に追いやられる。そんなことを繰り返しながら33歳になってしまいました。
「国家とは」などと大上段に構えるのは僕の趣味ではありませんが、国家は大きく分けて2種類の性格に別れるのではないかと僕は考えています。そのラベルが冒頭挙げた「海洋国家」と「大陸国家」になるのではないかと考えています。
まだ僕自身考えが充分にまとまっていないので、ここから先はとりとめのない話になりますが、海洋国家と大陸国家の違いは、対外政策に強く表れてくるように感じます。国内において資源、労働力、市場等の需給のバランスが崩れた場合、国外に侵出し、資源なり労働力なりの「所有権の確保」を重視するのが大陸国家。国外に侵出し、資源なり労働力なりの「利用権の確保」を重視するのが海洋国家。海洋国家と大陸国家のどちらが優れているというわけではありませんが、目的を達成するまでのコストは海洋国家の方が低く、目的達成後の維持コストが低いのが大陸国家。このように説明できるのではないかというのが、現時点での僕の考えです。
以上の分類が正しいと仮定して、問題は日本です。果たして日本は、海洋国家、大陸国家のどちらの性格を強く持っているのだろう。
もちろん、日本は四方を海に囲まれた島国です。地理学上の「大陸」ではありません。しかし、前述したとおり、海洋国家と大陸国家の違いを、所有権重視と利用権重視のどちらかとして説明できるとするのであれば、領土の大小を問わず、上記の分類は有効だと考えています。
などとグダグダしたことを言っておらずに。
本書は、古代から中世までの日本が、「日本」という一つの集団ではなく、西と東の二つの異なった性格を持つ集団が存在していたこと、その違いは現在もなお様々な場面で見られることを社会的な側面を中心に説明されています。
この分野に関して、それほど知識を持っているわけではないので、「言われてみれば、そうなんだろうな」としか言いようがないのですが、西と東の文化の違いの一例として、西が「船」を重要視し、東が「馬」を大切にしているという説明と、鎌倉幕府成立前後から東国に政治的な中心に移ったとする説明に、非常に興味を覚えています。もし、この説が正しいとすると、特に江戸時代以降の対外政策の説明がうまくいきそうな気がしています。 この辺りの事情を少し腰を落ち着けて調べてみようかなぁ。
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