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となり町戦争

著者三崎亜記
タイトルとなり町戦争
出版社集英社 出版年2005年 価格1400
評価★★★
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【感想】

 何となくゆったりした感じ。

 それが読後の印象でした。

 ストーリーは、主人公の郵便受けに町の広報紙が届いたところから始まります。そこには隣町との戦争が始まることが記載されていました。戦争が始まる! それが平凡な生活にどのような変化をもたらすのか不安と、少しばかりの期待を抱いていた主人公を裏切るかのように、戦争が始まっても特に目立った変化はありません。戦争を感じさせるのは、広報紙の「死亡23人(うち戦死者12名)」といった表記くらいです。そんな主人公にもついに町からの隣町の偵察命令が来ます。そこで主人公が体験した戦争の現実とは……。こんな感じで話は進んでいくのですが、いかにもお役所的な戦争の運営が、戦争の持つ不気味さをうまく描写しています。

 戦争を美化するわけでもなく、かといって、感情的な反戦でもなく、筒井康隆の『ベトナム観光公社』『東海道戦争』とはまた違う戦争のパロディとして、うまくできているなと思います。

 ただ、期待していたスラップスティック的な展開はなかったです。


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とみくら まさや (vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date : 2005.01.31 $