|Home / 読後感想 | |
著者 | 陳舜臣 | ||||
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 曹操(上下) 魏の曹一族 |
||||
出版社 | 中央公論社 | 出版年 | 2001年 | 価格 | 各648 |
評価 | ★★★ |
羅貫中の『三国志演義』では、悪役になっている曹操ですが、日本ではそれほど評判が悪いわけではないようです。実際、政治家としては、おそらく三国志の中でも悪辣かつ巧妙という点で傑出していたのではないでしょうか。
ともあれ、陳舜臣版の三国志シリーズ曹操編です。
副題にあるように、「曹一族」にフォーカスを当て、政治家としての曹操よりも家庭人としての曹操を描いています。家庭人としての曹操を描くことが目的のため、戦闘描写はかなりあっさりとしたものになっています。例えば、有名な赤壁の戦いについても、本当にあっさりと終了してしまいます。同様に各種の政治的な判断についても、あまり触れられていません。この辺は評価の分かれるところかもしれませんね。
個人的には、一個人としての実像に迫るという手法は決して嫌いではありませんし、実像に迫るために私人としての側面から取り上げることも有効だとは思うのですが、そうした私人としての側面がどのように公人としての側面に影響を与えたのか、もう少し踏み込んで描いて欲しかったなというのが本書への感想。
|Home / 読後感想 | |