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エンツォ・フェラーリ

著者ブロック・イェイツ
タイトル エンツォ・フェラーリ
出版社集英社 出版年2004年 価格876
評価★★★
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【感想】

 今年も始まりましたね F1!

 といいつつ、この読後感想は第2戦まで終了しているときに書いているのですけれど、それにしても今年の F1 は大幅なレギュレーション変更によって、ここ数年とは全く違う違うチームが表彰台に昇ったり、比較的上位でも抜きつ抜かれつがあったり(いったん独走してしまったら、独走態勢のままになりがちなのは仕方ないとして)と、それはそれで楽しかったりします。

 少なくとも2戦目が終わった時点でいえば、去年圧倒的な強さを誇ったフェラーリが、苦戦どころか本当に精彩を欠いているとしかいいようのない状態です。テレビ画面にシューマッハがほとんど映らなくなってしまっていますし、たまに映ると15番手辺りでイライラしながら走っているご様子で、シューマッハのファンではない僕ですら、盛者必衰、諸行無常なんて言葉が浮かんできて、少々気の毒になってしまっています。もっとも、まだ2戦目が終わっただけなので、ここまでだけで「今年のフェラーリは……」と言い出すのは勇み足なのでしょうけれど。

 ともあれ。

 本書は、フェラーリの創始者エンツォの半生を描いています。肯定的というよりは、どちらかといえば批判的な内容になっていますが、いわゆる暴露的な話ではないため、フェラーリ・ファン、アンチ・ファンを問わず、すんなりと読めるのではないかと思います。少なくとも提灯記事は何だかなと思ってしまう僕のような人間は素直に読めました。また、時代的にはエンツォの存命中が対象となっていることから、ジル・ビルヌーヴ(ジャックのお父さんの方)以前のドライバーが中心となっていて、古くからの F1 ファンには懐かしく、最近のファンには伝説の人物ということで、これまた楽しく読めるのではないかと思います。

 とにもかくにも、F1 チームが近代的な組織運営になる前の良くも悪くも牧歌的な雰囲気がすごく伝わってくる貴重な1冊になっています。F1 ファンの方にはお勧めします。


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とみくら まさや (vzx01036@nifty.com) $ Date : 2005.03.30 $