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著者 | 津本陽 | ||||
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タイトル | 本能寺の変 |
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出版社 | 講談社 | 出版年 | 2005年 | 価格 | 495 |
評価 | ★ |
本能寺の変が起きた理由、言い換えれば、どうして明智光秀が主君を裏切ったのかについては、様々な説があります。主なところを挙げれば、
いずれの説によっても、敗北した側なので、どうしても光秀に対する評価は低くなりがちです。しかも、その後の歴史の表街道を歩いたのは、逆賊を討ったことを大義名分にした秀吉、さらに信長の忠実な同盟国であった家康ということもあって、光秀に対する評価が改善されることはありませんでした。
そんな中、本書で津本氏は
リストラに対する反抗説
を唱えておられます。
ただ、どうなんでしょう。
最近の歴史研究で次第に明らかになってきていますが、主君に忠実でなければならないとする風潮は、儒教を全面的に取り入れた江戸時代に入ってから確立したもののようで、それまではダメな主君を見放すことは、それほど悪いこととは考えられていなかったようです(もちろん、好ましいことだとも思われていなかったようですが)。
また、誰からも指図をされない立場に立ちたいと思うことも、それほど悪いことだとは思いません。
僕自身、歴史的な事件について、実は動機はそれほど重視せずに、どのような状態を作り出そうとしたのか、そのためにどのようなことをしたのか、その結果、作り出そうとした状態にどこまで近づけたのか、この点に興味を持ってしまう人間だからかもしれませんが、本能寺の変に関しては、光秀は信長を倒した後、何が起こると予測していたのか、その中で光秀はどうしようとしていたのか、そのために何をしたのか、こんなところを小説家ならではの想像力を働かせた作品を読みたいなと思っています。誰か書いてくれないかなぁ。
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