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著者 | 穂村弘 | ||||
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タイトル | 本当はちがうんだ日記 |
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出版社 | 集英社 | 出版年 | 2005年 | 価格 | 1400円 |
評価 | ★★★ |
もちろん世の中には、おおむね自分の思うとおりに生きていけている人もおられるようですが、普通なかなかそううまくはいかないものです。どうしてあの時、こう言えなかったのだろうとか、あの時こうしていれば、なんて後悔することが多いわけです。少なくとも僕は、「うまくやれた!」と思うことよりも、「うひゃ、失敗しちゃった!」と感じることが多いので、「もう1回やり直しがきくものならば!」と思うこともしばしばあります。
そんな理想と現実のギャップに戸惑いながら毎日を送っている人にお勧めなのが、本書です。
穂村さんは、こんな風におっしゃいます。
「今の人生はリハーサル。本番はきっとこれから始まるはず」
なんだかこれだけなら、今流行の人生ハウツー本のようですが、もちろん、本書はそんな類のものではありません。「本番」が始まるはずないことは重々承知しつつ、それでも、日々ちょっとした失敗の積み重ねを続けてきた結果の今日を、「リハーサルなんだ」と自分自身をだましながら、消極的に受け入れる。そんなちょっぴり侘びしいスタンスを自虐的なユーモアを交えながら書いておられます。
確かに、負け犬の遠吠えと言ってしまえば、それまでです。実際、辛気くさい生き方なのかもしれません。
でも、どうなんでしょう。
負け組になることを自ら望む人は、やっぱり少数派でしょう。とは言うものの、みんながみんな勝ち組を目指す世の中ってのは、それはそれで息苦しいのでは? と典型的なモラトリアム人間の僕は、ついつい日和ったことを考えがちです。きっと勝ち組にはならないんだろうなと思いつつ、でもそのことに絶望する必要もないわけで、日々、何となく他愛ない楽しさを見つけられる生き方も、それはそれでありだと僕は思います。
少なくとも、34歳、独身の僕は、ニヤニヤしながら本書を楽しめました。
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