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著者 | サキャ | ||||
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タイトル | サキャ格言集 |
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出版社 | 岩波書店 | 出版年 | 2002年 | 価格 | 560円 |
評価 | ★★★ |
古典を読むこと。その理由は人それぞれでしょうが、僕自身は、
結局、人間ってそれほど変わってないよね
ということを確かめるために読むことが多かったりします。
本書は、13世紀チベットの政治家サキャ・パンディタの格言詩を集めたものです。
13世紀といえば、モンゴルの時代です。日本のように海という障壁のなかったチベットにとっては、モンゴルの脅威はより直接的なものだったに違いありません。そのモンゴルとの交渉を一手に引き受けたのが、サキャ・パンディタでした。このサキャ・パンディタの活躍により、その後の元朝とチベットの特殊な相互関係へと発展します。
コンテクスト的な話はここまでにしまして。
本書の中心は、組織のあり方、特にリーダーシップとは何かについての達見です。例えば、サキャは次のように書いています。
人の上に立ちたいとは全く思いませんし、立てるだけの能力も才能もない僕ですら、なるほどねと考えさせられる文章が多かったのですが、個人的にはそれよりも、
こんな文章に見られるような時代も地域も越えた人間性の不変さ。そちらの方が興味深かったりします。
人間が変わっていないこと。そのことを喜ぶ人、がっかりする人、それぞれおられるでしょうけれど、ただ、自分たちが生きている現在は、決して最悪でもなければ、最良でもないのだと思えることは、決して無意味なことではないと思います。
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