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著者 | 佐藤雅美 | ||||
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タイトル | 信長(上下巻)![]() ![]() |
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出版社 | 文藝春秋 | 出版年 | 2006年 | 価格 | 上巻590円 下巻562円 |
評価 | ★ |
戦国時代の有名人、自分ならどのタイプだろう。男の子なら、一度は想像したことがあるかと思います。
代表的なのは、信長、秀吉、家康の3人。少しマニアックになると、信玄、謙信、政宗、早雲、道三、元就が続き、さらにマイナーになると島津、明智、長宗我部、龍造寺、真田、直江、島、前田、竹中あたりまで広がるのでしょうか。
一般的には天才型信長、才気煥発型秀吉、隠忍自重型家康と類型分けされていて、その中で自分のタイプに近い人に重ね合わせるということなのでしょうね。
ともあれ。
本書は、織田信長の人生を描いたものです。
この種の歴史小説の場合、大きく分けて、あたかもその場に居合わせたかのように肉声(らしきもの)を描く講釈師タイプと、書斎の中で資料に埋もれ、あくまでも過去の出来事として描く歴史家タイプに分かれます。それぞれ好き嫌いあるかと思いますが、僕はどちらかというと、興味のある分野であればあるほど、後者のタイプを好みます。
本書は後者のタイプで、多くの資料を丁寧に調べて、そこで著者が得た知識を記述しています。その意味では僕の好きなタイプのはずなのですが、正直、あまりいい読後感を持ちませんでした。
まず第1には、躍動感に欠けています。どうしても資料を丁寧に調べると、微細な事実に言及したくなりがちで、それが物語を進める邪魔をしているような印象を受けてしまいます。
また第2に、その微細な事実に新しい発見がありませんでした。信長という既に多くの人によって書き尽くされてしまっているので、仕方がない面もあるのでしょうけれど、非常に細かな事実を書いてはいるのですが、どうも枝葉末節に走りすぎているような印象を受けてしまいます。
信長という本当にいろんな人が書いている題材なので仕方がないのかなと思いつつ、読んでいて、ワクワクする気持ちにならなかったのが正直な読後感です。
誰かあっと驚くような信長を描かないかなぁ。
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