Home / 読後感想
掲示板】【Mail

ローマ世界の終焉

著者塩野七生
タイトル ローマ世界の終焉 ローマ人の物語15
出版社新潮社 出版年2006年 価格3000円
評価★★★★★
Amazon 紹介ページ

 15年間続いた塩野さんの『ローマ人の物語』シリーズもいよいよ完結です。

 本巻ではローマ帝国(西ローマ帝国)の滅亡が中心になっています。

 今、僕は「滅亡」と書きましたが、本当は「消滅」と表現した方が正しいのかもしれません。世界の首都だったローマが、繰り返し蛮族の侵入を受け、そのたびに財産と人の流出が起こり、気がつけば一地方都市と同様の状態になっていた。そんな感じの最後を迎えます。

 終末に至る過程は本書をお読みいただくとして、印象深かったのは、物事が斜陽にさしかかった際、その後、どの様に賢明に行動したとしても、もはや後戻りはできないのではないかということです。

 このような考えは、なんだか運命論的で、個人的にはあまり好きな考え方ではありませんが、前巻以降に登場するローマ人の内、誰一人として悪意を持ってローマを滅ぼそうとしたわけではなく、むしろローマを救うべく行動したことが、ローマの崩壊につながっていくことになる様を見るに付け、「物事なるようにしかならない」との感想になっています。


Home / 読後感想
掲示板】【Mail

とみくら まさや (vzx01036@nifty.com) $ Date : 2007.01.11 $