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イングランド・イングランド

著者ジュリアン・バーンズ
タイトル イングランド・イングランド
出版社東京創元社 出版年2006年 価格2200円
評価★★★★★
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 さすがはバーンズ。小説らしい小説。

 物語は、辣腕事業家が小さな島にイングランドとしてイメージされているもの全てを再現する「ビジネス」を縦糸にして、横糸には主人公の女性の心の成熟過程が織り込まれています。

 設定自体は荒唐無稽ですし、登場する人物もステレオタイプに描かれているのですが、バーンズの手にかかると、荒唐無稽さもステレオタイプさもどこかに吹き飛んでしまい、実際のプロジェクト、実在する人物であるかのように、活き活きしたものになります。この辺りは『フロベールの鸚鵡』、『10 1/2章で書かれた世界の歴史』を挙げるまでもなく、細かな描写がしっかりしているからなのでしょうね。

 ともあれ、本当に小説らしい小説。今年読んだ中では間違いなく一番面白かったです。


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とみくら まさや (vzx01036@nifty.com) $ Date : 2007.06.21 $