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著者 | 山口雅也 | ||||
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タイトル | 續・日本殺人事件 |
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出版社 | 東京創元社 | 出版年 | 2007年 | 価格 | 700円 |
評価 | ★★ |
引き続き、山口雅也の『日本殺人事件』シリーズです。
前巻が、コミカルな雰囲気だったのに対して、本書では一転してシリアスな作品になっています。
外国人が誤解している日本のイメージをふんだんにちりばめているのは前作同様です。しかし、主人公の焦りや不安といった内面の描写が増え、全体的に心理小説のような雰囲気を漂わせています。
一つには、主人公がいわゆる依頼解決型の探偵ではなく、巻き込まれ型として設定されているため、ビジネスとしての探偵業が今ひとつ軌道に乗りきれないこと。もう一つは、前作で狂言廻し役でもあったヒロインとの関係が自然消滅したこと。そして最後に、異国の地で生活している孤独感。事件の合間合間に見え隠れするこれらのマイナスの感情が、良くも悪くも作品の雰囲気を暗いものにしているように感じます。
主人公トウキョー・サムの焦燥感、喪失感、孤独感を伏線にした上で最後の事件につなげているのは素直にうまいと思うのですが、前作同様の痛快エンターテインメントを期待していると、少し重苦しい感じです。
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