5月の生き方


日記の目次

05.05 : シーズンチケット
05.08 : フリーマーケット
05.10 : 都市伝説
05.13 : よく分からん
05.15 : ラーメン屋
05.22 : スポ根特集
05.27 : 電話番号


シーズンチケット

2001.05.05

 ハーマン監督は優しい人だ。

 この映画は、少年の犯罪、不登校、家庭崩壊など、イギリスが抱えている社会問題を対象にしています。こう言うと、非常に暗く重い映画になるか、「それでも俺達は生きてるぜー!」的なうわついた映画になるかのどちらかですが、ハーマンは、それをうまくウォームな映画に仕上げています。

 映画の概略は、少年2人がサッカーのシーズンチケットを手に入れるべく、合法非合法を問わずありとあらゆる手段で、金を稼ぐドタバタ喜劇です。お金が貯まった瞬間に妨害が入って一から出直しといったストーリーもありがちだし、恋愛と失恋についてもありがち……と、すべてにおいてありがちなのですが、そうしたありがちをイギリス独特の乾いたユーモアによって救っています。

 例えば、主人公の少年が、学校の授業で、少年時代にサッカーを観に行った思い出を語るシーン。現在はアル中で家族に暴力を振るう存在でしかない父親と子供の頃、サッカーの試合を観に行った。その日はあいにくの雨で、父親は寒がる僕に自分のコートを着せてくれる。父親は満足そうに微笑みながら、ときおり気遣うように僕を見る。試合の内容は忘れてしまったけど、ただ、その時に飲んだ紅茶、砂糖を2つにミルクをたっぷり入れた紅茶はいつまでも忘れない。試合が終わり、最後まで残っていた僕達は、暗くなった公園を二人で帰る。遠くの方で鳥の鳴き声が聞こえ、その鳴き声ごとに夜が近くなる。少年がうつむき加減に訥々と、しかし詩情豊かに話すそのシーンは、感動的な場面の1つで、予告編でも取り上げられているシーンなのですが、しかし、その直後、実はその感動的な話が、本当はもう一人の主人公の少年の体験だったことをさらっと明らかにするなど、実にイギリスらしいあっかんべーをやってのけます。しかも、そうすることで、先ほどの少年の告白の効果をさらに高めているわけで、この辺の演出は実に心憎いというか、「負けた」と思わせるものになっています。

 ラストのどんでん返しも、予定調和的と言えば予定調和的なのですが、嫌みな感じはありません。丁寧に作られたいい映画です。最近、殺伐とした映画に食傷気味の人にはお勧めです。


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フリーマーケット

2001.05.08

 幕張メッセで開催されていたフリーマーケットに行って来ました。

 近所のフリーマーケットは、ちょくちょく冷やかしていたものの、これほど大規模なものに行くのは初めてということもあって、行く前から一人で盛り上がっていました。

 知人から、

「部屋のどこに置くか考えてから買え」

と強く念を押されていた僕は、僕の腰ぐらいの高さを誇る超巨大湿度計や、手品の種100セット、キリンの着ぐるみといった各種の誘惑を振り払い、木彫りの人形には後ろ髪を引かれたものの、それにもうち勝ち、ローストビーフをぱくつきながら、フリーマーケットの雰囲気を楽しんでいました。

 それにしても、フリーマーケットっていろんな人が集まってくるんですね。

 「とりあえず、フリーマーケットなんで、商品並べてます」的なフリーマーケット初心者から、「俺のコレクションを見ろ!」的な人(客に商品にまつわる蘊蓄をいろいろと語って、結局、商品を売らないわけで、なぜ出店しているのか謎)、200円の商品を30円まで値切る人、藤原紀香&広末涼子&浜崎あゆみ等身大看板を2万円で買った人など、実にさまざまな人がいらしていました。

 ちなみに今回の収穫は前からほしかった『クリック&モルタル』+商売上手なお嬢ちゃんに負けて買った『bウェブ革命』。結局本かい!(でも、2冊あわせて200円だったので、お買いどくっしょ?)

 フリーマーケットより、古本即売会の方が良かったんじゃ……とは知人の言葉。そんなところに僕を放り出した日にゃ、鎖の外れた犬状態っすよ。


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都市伝説

2001.05.10

 昭和40年代に生まれた人なら一度は聞いたことがあると思いますが、口裂け女です。

 口裂け女にはいくつかのパターンがあって、黒いロングコートに、黒いサングラス、烏の濡れ羽のような長い黒髪と全身黒ずくめ、口元だけやけに大きい白いマスクをした女性が、夕方、「あたしきれい」と声をかけてくるのだそうです。ここで「美人じゃない」と答えると、女性はマスクを取り、耳まで裂けた口をクワっと開けて、鎌を振って追いかけてくるのが基本パターン。ところが、「美人です」と答えても、「これでもか」と、やはりマスクを取って耳まで裂けた口をクワっと開けて、鎌を振って追いかけてくるパターンもあるのだそうで、さらには、黙っていても、やっぱりマスクを取って鎌を振って追いかけられるのだそうで、結局

追いかけられるんやん!

というのが、この話の落ちです(落ちってこともないか)。禅問答の中に、木刀を持った坊さんが小僧さんに向かって「声を出したら木刀で殴る、私の問いに答えなくても、やはり木刀で殴る。そもさん」というのがあるのですが、これと同じ。ちなみに、この禅問答、「木刀を奪い取る」というのが正解なのだそうで、禅問答って、奥が深いんだかなんだかよく分からないっすね。

 それはともかく。

 知人が、怖い話をしてやると言い出しました。概略はこんな感じです。

 深夜2時30分頃、タクシーを止めると、運転手がなにやら手紙のようなものを読んでいて、いっこうに走り出そうとしない。それをとがめると、運転手はくるっと振り返り、「俺の遺書を読んでるんだ」と言う。驚いて、タクシーを降りようとするが、ドアが開かない。運転手が、一緒に死んでくれと迫ってくる。もはやこれまでと覚悟を決めると、いつの間にかタクシーは自宅に着いていて、運転手は何事もなかったかのように料金を告げる。

 概略なので、あまり怖くないかもしれませんが、とにかく知人は、身振り手振りを交えて、大変怖そうに話してくれました。もっとも、今回については、どうも話の要領がよく分からないので、「はぁ」とか「まぁ」とか気の抜けた対応をしていると、「話甲斐のないヤツ」と怒り出しました。

 そんな話を聞いたある日、帰りが遅くなって終電に間に合わなかった僕は、疲れていたこともあってタクシーに乗り込みました。

「王子駅の前の北本通りをずーっと走ってもらって、左手に消防署が見えたら降ろしてください」

と告げて、ポケットからライターとタバコを取り出し、火を付けようとした瞬間、

「お客さん、うち禁煙なんですよ」

 噂には聞いていた禁煙タクシーってやつっすか。しかも、こういうときに限って渋滞に巻き込まれる始末。それから約1時間、まさに地獄の時間帯でした。禁煙タクシーって、てっきり都市伝説の一種だと思っていたのに……。

最近ひしひしと肩身が狭くなっている喫煙者の冨倉


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よく分からん

2001.05.13

 石原慎太郎の息子って、なんとなく似てるような気もするけど、なんとなく似てないような気もするよね〜と知人が言いました。

 そう言われてみれば、そうっすね、と僕は答えました。どうも昔から僕は有名人のプライベートに興味を持てない性格で、そもそも石原慎太郎に子供がいたこと自体、つい最近知ったばかりです。ましてや、一人が芸能界で働いているなんてこと、知人に教えてもらうまで全く知りませんでした。

 確かに言われてみれば、政治家の方は、まだどことなく父親の面影があるような気もするのですが(目をしょぼつかせるところとか)、芸能人の方は、名字が「石原」であるにも関わらず、息子だと教えてもらった今も、「本当に息子か?」と思ってしまいます。

 次男坊の方は、やっぱり似てないんじゃないかと僕が言ったところ、知人はしばらく考え込み、

「純君は子供の頃、裕次郎君のところに遊びに行ってたらしいから、裕次郎の方に似てるのかもね」

 納得できるような、納得できないような……。


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ラーメン屋

2001.05.15

 王子駅を降りて、飛鳥山を左手に見ながら、トボトボと坂を上る途中に、一軒のラーメン屋さんがあります。ここは知る人ぞしる「つけ麺がおいしいラーメン屋」として、その筋の人にはちょっとだけ知られたお店です。もっとも、味に頓着しない僕のような人間にとっては、

とりあえず量が多いぜ!

 それでもって、

チャーシューが分厚いぜ!

 という2点によって仕事帰りに途中下車して立ち寄るお店です。ただ、このラーメン屋さんは、どういうわけか店内禁煙なので、ニコチン中毒な僕にとっては、長居しづらい店なのですけれど。

 ところが、このお店が、諸般の事情により閉店してしまいました。またひとつ、僕の食生活の拠点がなくなってしまったと残念に思っていたのですが、先日、用事で王子駅近くに出かけたところ、同じところにまたラーメン屋さんが店を開いていました。しかも前と同じようにつけ麺もあります。

 店内は、以前と変わらず狭いカウンター席に客が連なり、前と同じおじちゃんが、なんとなく不機嫌そうな顔をして、アルバイトの店員に麺のゆで方なんかをレクチャーしています。店内禁煙なのも、前と変わりません。一体何が変わったのか。

 不思議に思っていたところ、店名が

「みの麺多」

 おっちゃん、本当にそれでいいんでしょうか。


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スポ根特集

2001.05.22

 ファンの人には申し訳ないのですけど、どうも僕は工藤静香が苦手です。

 何がどう苦手なのかと聞かれても困るのですが、なんとなくかもし出している雰囲気全体が、なんともイタイと思ってしまって、正視できないわけです。

 さて、今週、僕は『幼なじみ』という映画を観に行こうと思っていました。これはフランスの映画で、幼なじみの二人がいつしか恋に落ち、将来を約束するのですが、犯罪を犯したとして囚われの身となった男性の無実をはらすために身重の体で女性が奔走するという内容です。正直、内容的には僕が一番苦手とするものなのですが、なんと言っても

主演のロール・ラウストがすごく美人!

彼女が頬杖をつき遠くを見ている横顔に負けました。

 と言うわけで、日曜の朝、いそいそと身支度をして有楽町に出かけたわけですが、いざ映画館に入ろうとした瞬間

工藤静香さんも絶賛!

の文字が。しかも、

今なら工藤静香さんが描いたイラストをプレゼント!

 この先制攻撃でノックアウトされた僕は、急遽予定を変更して、隣でやっていた『リトル・ダンサー』のチケットを購入しました。

 ボクシングのヘッドギアを付けた少年が、ふりふりのダンス衣装を身につけた少女達に囲まれて困惑している表情を浮かべているポスターから、僕はてっきりスラプスティックな内容を期待していたのですが、実際には、ストレートなサクセスストーリーでした。イギリス映画らしい丁寧な作りなのですが、ちょっとずれた方向を期待していた僕としては、物足りなかったのも事実です。

 このもやもや感を解消すべく、場所を変えて渋谷のシネクイントでやっている『アタック・ナンバーハーフ』を観てきました。  こちらは、実話を元にしたオカマのバレー部が国体優勝を目指すという内容。濃いっす。実話を元にしているだけあって、ドタバタにも一定の制限がかけられているようですが、それでも登場人物は「濃い」の一言です。でも、それを除けば、ストレートなスポ根ものでした。チーム内の対立と和解、メンバーの失恋、家庭の事情でチームを離れたメンバーが、チームの危機に駆けつけるなど、まさに70年代スポーツものの要素てんこ盛り。さらに、差別、セクシャルハラスメントなど、現在、タイが抱えている社会問題も(ステレオタイプながら)てんこ盛り。硬派な映画と言っても過言ではないでしょう。でも、おかま。タイ映画界、恐るべし。


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電話番号

2001.05.27

 「いいちこ」っていちごが入っているわけじゃないんだ。

 と唐突な一部ネタで始めてみたわけですが、皆様お元気ですか。

 日曜の昼過ぎ、僕は電話のベルで起こされました。枕元の目覚まし時計を見ると1時を少しすぎたところです。寝ぼけた頭で、布団から出て、受話器を取ると、「ご主人様ですか、どなたか大人の方はおられませんか」といきなりたずねてきました。

 ご主人様も何も、こちとら独り暮らしっす。しかも、30歳。精神年齢はともかく、世間一般的には十分成人だと思うのですが、いかがなものでしょうか。

 ともあれ、もごもごと「独り暮らしです」と答えると、電話の主は、なにかの商品だかサービスだかの説明を始めました。

 寝起き直後、普段にもまして理解力が低下している僕は、事情が良く飲み込めず、はぁ、とか、いやまぁと寝ぼけた応答していると、向こうも僕がボケだということに気が付いたのでしょう。あとで電話してほしいと言い出しました。

「こちらの番号は、××××−××××です。担当はわたくし小野までお願いします」

と言われて、これでやっと解放されるとホッとした僕は、それじゃあと言って受話器をおろそうとしました。

 ところが。

「本当に、電話番号を控えられましたか? くり返してみてください」

と突然、電話の主が言い出しました。

 当然、控えているはずもなく、ましてや記憶力の欠如については人並み以上を誇る(誇るようなことじゃないですけど)僕のことです。8文字中、覚えていたのは最初の「3」だけでした。

「覚える気ありますか」

と電話の主はきつく言いました。

 ないです。


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とみくら まさや(vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date: 2001/05/05 $