08.05 : 夏祭り
08.08 : 家探し
08.15 : こだわりの人
08.19 : 電話
08.21 : 戦々兢々
08.29 : 言い訳
この週末、王子周辺ではいわゆる町内会の夏祭りが各地で開かれていました。
基本的に、祭りと聞けばじっとしていられない性分(もっとも、祭りじゃなくてもじっとしてないという説もありますけれど)。土曜日は自宅近くの祭り見物。日曜日は十条駅前から商店街にかけての祭りに行ってきました。
「小遣いは2000円まで」
と知人あらため友人の厳しいお達しにもめげず、リンゴ飴から始まり、アフリカの家庭料理、ベトナム料理、タイ料理とワールドワイドな夜店のハシゴをした後、僕の目に飛び込んできたのが、
「サボテン・フライ!」
うわー、なんじゃそれー。
サボテンのフライですぜ、だんな。どんな味がするのか。確かにサボテンの中には食用になるものがあるとは聞いていたものの、実物を見るのは初めてです。
すでに予算オーバーしていた僕は、サボテン・フライを食べたい、買う、というか、買ってくれ。と友人に頼み込みました。
店のおばちゃんも心得たもので、今なら1袋300円のところを2袋におまけしてあげるといいました。
「おまけ」という言葉に基本的に弱い友人は、しぶしぶ財布の口を開け、500円玉を取り出しました。
心躍らせながら袋を受け取った僕は、中身を確認することもせずに、大急ぎで一口ぱくつきました。
「あれ、これってただの豚カツやん」
少し拍子抜けしたものの、確か串は5本あった。ということは、1本は肉で、残りはサボテンなのだろう。確かにサボテンばかり食べさせるよりも、肉の食感もあった方がいい。やるな、おばちゃん、よしよし、次こそサボテンだと思いながらもう1本取りだし口に入れたのですが、こんども豚カツ。あれ、どうなってるんだ。
友人は「おいしいねぇ」とご満悦なのですが、隣にいる僕は落胆の表情を隠せません。そんな僕を不審に思った友人は、なにか不満があるのかと詰問しました。不満もなにも「サボテンじゃないやん」と口答えすると、知人はあきれた顔をして、
「豚カツのさぼてんっていったら有名なお店だよ」
えっ、店の名前だったんすか。僕はてっきりサボテンを食べさせてくれるものだと……。
「一人で妄想を暴走させて盛り上がる癖はやめろ」
確かにおっしゃるとおりっすね。でも、やっぱりサボテンのフライは食べてみたい……。
早いもので、東京に出てきてから4年が経ちました。月末はアパートの更新が控えています。
学生時代、半年に1回引っ越しをする引越魔のような友人がいましたが、僕は元々家にはいないが、場所には居着く人間。しかも今すんでいるところが、東京にしては比較的家賃が安いにもかかわらず、トイレ・バスあり、室内洗濯機置き場あり、冷暖房完備(ただし、冷房についてはトラブル多し)と抜群の住宅環境を備えています。加えて、近くに大きめの本屋さんがあり、職場までの路線には上野公園と美術館群、有楽町まで出れば映画館も豊富、さらに神保町までのアクセスも楽と文句のつけようがありません。さらにさらに、大家のおばあさんは優しい人で、二階のOLさんもいい人です。近所の人達も親切だしと、考えれば考えるほど、引越をする理由が見つかりません。
とは言うものの、さすがに2度目の更新。少しぐらいは家を探すのも悪くないだろうと、半休をとってアパートを探してみました。
いやー、さすが東京。ありますね〜、いろんな物件。
家賃5万8千円(管理費別)。冷暖房完備。駅まで5分(ただし、交通量の多い北本通りを突っ切った場合)。いいなぁと思うのですが、さっき廊下ですれ違った人、眉がなかったのが気になります。
家賃7万円。床下収納スペース有り。ここもいいと思ったのですが、1点問題が。窓の外に見える黒塗りベンツの縦列駐車は何を物語っているのか。
極めつけは、家賃6万円。駅まで3分。8畳フローリング。ただし、お隣さんがあからさまに組事務所。いくら僕が怖いもの知らずとはいえ、それはちょっとパス。
やはり東十条は、その筋の人が多いのかも。
うわー、そりゃないよー。
いきなり絶叫で始めてみた今日の東京日記ですが、皆様お元気でしょうか。冨倉です。これでも一応、失恋して落ち込んでいるつもりです。
ともあれ。
僕は性格が雑にできているせいか、八百屋さんでトマトを買うときも、スーパーで牛乳を買うときも、基本的には最も手近なものを手に取ります。賞味期限? なにそれ? と適当にカゴの中に入れている毎日を送っていると、たま〜に、明日が賞味期限な牛乳を見事に引き当て、1週間後の土曜日におなかを下すはめになっていたりします。夏場は注意した方がいいですね。
そんなある日、いつものように本屋に行ったところ、先ほどから雑誌コーナーに平積みになっている本の底の方から引っ張り出してきては、また元に戻すという行為を繰りかえしている人を発見しました。
彼は、まず本を1冊取りだし、その背表紙に不具合がないか、角々が折れ曲がっていないか、製本の都合でゆがんでいないかなどを念入りに調査し、どこか気に入らない部分があると本を戻して、また底の方から雑誌を取り出すという行為を繰りかえしておられました。
こだわってるな〜。
普通の書籍でも、読書中に気になる部分があったら平気で折り曲げたり線を引いたり、ひどいときにはページを破り取るような僕には、とうていそこまでのこだわりはもてないと思いながら見ていると、ようやく彼の気に入ったものがあったのでしょう。その人物は念入りに選び抜いたその本を読み始めました。
しばらくして。
うんうんと大きくうなずきながら、念入りに選び抜いた雑誌を立ち読みされていた件の彼は、読み終えた雑誌を静かにその場におき、さっそうと店を出て行かれました。
立ち読みだったのか!
立ち読みの雑誌をあそこまで念入りにチェックする人物。形から入るというのも、もちろんありなのでしょうが……。
30歳未婚、独り暮らし。自宅でおとなしく遊べる趣味なし。
こういう男性の週末の過ごし方と言えば、昼頃にのそのそと起き出し、とりあえず顔を洗って服を着替え、ボーっとする頭のまま近所の喫茶店に出かけて、限りなく昼食に近い朝食を取ることから始まります。
その後、本屋に行くか、映画館に行くか、はたまた公園でボーっとするか等の選択肢の中から、気の向くままにいくつかをチョイスし、ふらふらと遊びほうけたあげく、夜遅く帰宅するわけで、ほとんど自宅にいません。その結果、自宅の電話は留守番電話以外の使われ方をされないわけです。
とは言うものの、ごくまれに終日自宅にいることもあるわけで、この週末がまさにそうだったのですが、ここぞとばかり電話が鳴り響きました。
「もしもし、冨倉です」
「わたくしなんとかかんとかの、なんとかと言うものですが、お母さんいますか?」
「いません」
「それでは、お父さんいますか」
「いません」
「それでは、どなたか大人の方いませんか」
「僕、一応、30歳です」
「えっ……。大変失礼しました。わたくしなんとかかんとかの、なんとかというもので、この度、なんとかというサービスをご提供させていただこうと思うのですが、いかがでしょうか」
「いりません」
これがまず1件目の電話の応対全文です。さらに数分後、
「もしもし、冨倉です」
「お父さんおられますか」
「いません」
「お留守ですか?」
「僕、独り暮らしです」
「えっ……。じゃあ、学生さんですか?」
「一応、社会人です」
「失礼いたしました。こちら30歳以上の方を対象にしたサービスを提供させていただいているものですから、またかけ直させていただきます」
以上が2件目の電話です。30歳だよ〜んという心の叫びはともかく。さらに1時間ほど経った後、
「もしもし、冨倉です」
「どなたか大人の方おられませんか?」
大人ですよ僕。ダメっすか。そりゃまぁ、普段、子供みたいなことしてますけど……。
それにしても、3件続けて、子供扱いするとはどういうことか。確かに、見た目はどういうわけか実年齢より幼少に見られることが多いのですが、なぜ電話で、こんな仕打ちを受けなければいけないのか。理不尽だ。と怒りまくっていると、またもや電話が鳴りました。
「30歳です」
攻撃は最大の防御。こうなったら先制攻撃をくらわしてやるのだとばかりに、いきなり年齢を告げてみました。
が、しかし。
「そんなことは分かっとる」
知人あらため友人でした。タイミング悪すぎ。
来週、健康診断がひかえています。
とは言うものの、元々健康管理とは無縁の人間。病気になるときは病気になるし、何やっても健康なときは健康だよとついつい考えてしまうような人間なので、健康診断そのものは、正直に言えば、それほど恐れていません。
問題は、
前日夜9時から食事および飲酒・喫煙禁止!
食事はいい。それは我慢しましょう。幸い、夜食を食べるという習慣は持ち合わせていませんし、普段からお酒を飲まないので、そちらも問題ありません。
が、しかし。
タバコもダメっすか!
どうするよ、おい。10時間以上禁煙だぜ。
というわけで、先ほど予行演習をやってみました。
第1回目の挑戦 非喫煙時間21分
敗因:ふと気がつくと、なぜか目の前に灰皿があったため
対策:灰皿、タバコ、ライターを片づけておこう。少なくとも目の触れるところに置かない。
第2回目の挑戦 非喫煙時間36分
敗因:テレビのコマーシャルに負ける
対策:禁煙中はテレビは見ない。
第3回目の挑戦 非喫煙時間57分
敗因:特になし
対策:立てようもなし
うわー、本当にどうする。1時間もたないっすよ。健康診断まで残り1週間。果たして僕はタバコを吸わずに一晩過ごせるのでしょうか。自信は全くありません。
健康診断無事終了! まだ結果が出てないんだから、「無事」かどうか分からないだろうというもっともな意見は却下。いいんですよ、こういうのはオリンピックと同じで参加することに意義があるんだから、結果なんか知ったこっちゃない。
などと、30歳にもかかわらず、相変わらず脳天気な毎日を送っていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。秋口は風邪をひきやすいので体にはお気をつけ下さい。
新橋駅前のコンビニで、件の人物は40代後半、おそらく酔っていなければ紳士といってもいい立派な身なりをされていました。
が、しかし、今は単なる酔っぱらいです。状況から察するに、どうやら彼は万引きをしてとっつかまったようです。
「俺は常習犯じゃない」
彼は首根っこをひっつかまえている店員にこう口答えしました。しかし、店員は常習犯だろうがそうじゃなかろうが、そんなことは知ったこっちゃないといった態度を崩しません。当然といえば当然です。
そこで彼は、
「ちょっと今お金がないから、今度来たときに払おうとしたのだ」
と言いました。が、しかし、悲しいかなこれも店員の心を動かすまでにはいたりませんでした。かたくなな店員の態度に彼も開き直ったのでしょう。
「俺は毎日ここで買い物をしているのだ。随分金を払ってやった。これぐらいサービスしてくれてもいいだろう」
そりゃ、無理ではないかと僕がハラハラしながら見ていると、案の定、店員はつっけんどんにお金を払いなさいと言いました。
「分かったよ、払うよ、払えばいいんだろ。今日はあんたの顔を立てて払ってやるが、もう二度とこの店に来ないからな」
と男性は言いました。すると冷静な店員は、
「二度と来ないじゃなくて、二度と来れないの間違いでしょう」
と言いました。店員さんクール!