9月の生き方


日記の目次

09.11 : 夏休み初日
09.12 : 反則王
09.16 : アニメ三昧
09.23 : わんす・あぽな・たいむ
09.24 : 喫茶店から
09.26 : 母倒れる
09.30 : ヤマカシ


夏休み初日

2001.09.11

「やっぱりそれはまずいんじゃ……」
「いいんですよ、どうせピーはピーだし」(一部抹消)

 などと思いっきり一部ネタ ア〜ンド 内容極悪な書き出しで始めてみた今日の東京日記。ご無沙汰しております。皆さんお元気ですか。

 さて。

 僕が今働いているところは、7月15日から9月15日までの間に自由に夏休みをとれることになっています。今年は完全に自分の都合だけで休みを取れるので、どうしようかと考えていたのですが、9月前半に大きめの仕事があったので、それが終わった後にしようと決心しました。

 と言うわけで、今週の月曜日からかなり遅目の夏休みだったりします。

 当初の計画ではこの休み中に東北への小旅行を予定していました。もっとも計画と言っても、基本的に

出たとこ勝負な性分

列車はもちろん、ホテルの予約すらしていなかったのですけれど(それでいいのか、30歳)。

 一応言い訳をしておくと、これまでの経験から、この時期は特に予約をしなくても、少なくとも独身一人旅なら、なんとかなるものです。いざとなったら、公園だろうと駅のベンチだろうとどこでも寝られます。まだまだ若いっす。
 などとうそぶきつつ(とは言うものの、30歳。体力は確実に低下の一途をたどっているのですが……)土曜・日曜で片づけをして、いよいよ月曜日! いぇーい、明日は旅行だぜ! と一人で盛り上がりつつ、その夜は床につきました。

 そして翌朝。

雨やん! しかも土砂降り!

 テレビをつけたら台風が接近しているとのこと。なに〜! さらに追い打ちをかけるように、今回の台風も非常に緩慢な動きで北上しているとのこと。だめじゃ〜ん!

 てなわけで、思わずふて寝してしまった夏休み初日。日頃の行いを反省すべし > 自分


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反則王

2001.09.12

 三ヶ月に一度の苦行、散髪に行ってきました。散髪ごときを苦行と称する30歳(独身)というのも、いかがなものかと思いますが、とにかく僕にとって散髪は苦行です。ちなみに、僕の髪の指定の仕方は下記の通りです。

「えっと、短めにして欲しいんですけど……」
「髪が立つほど短くしていいでしょうか」
「えっ、それはちょっと……。あのー、適当に短く……」
「適当と言われましても……」
「えーっと一応、30歳なんで、そのー、サラリーマンとして笑われない程度に……」
「はぁ」

 30歳になっても自分の髪型を指定できない客で本当にご迷惑おかけしました。

 それはともかくといたしまして。

 夏休み2日目もあいにくの雨。ホント、日頃の行い悪すぎです。

 が、しかし。基本的にじっとしていられない性分。雨がどうした。台風がなんだ。せっかくの休みを家の中でじっとしてられるか、と自分にかつを入れ、台風の中ずぶぬれになりながら見てきました『反則王』。

 一部で話題になっていたので、ご存じの方もおられるかもしれませんが、粗筋を紹介すると、昼はダメ銀行員。仕事もできず、体力もなく、容姿も端麗でなくといいところなしの主人公が、昔憧れたプロレスラー(しかも、悪役)が運営するレスリングジムに入会します。
 とは言うものの、オンボロジムのため、練習相手の先輩レスラーと言ってもパッとしません。しかし彼が目指すのは正統派レスラーではなく、あくまでもなんでもありの悪役レスラー。そんな状況にもめげることなく、昼は銀行員、夜はレスラーという二足の草鞋をはいた生活を続けます。そしていよいよ、全国ネットで放映される試合当日。晴れの舞台で果たして彼はどのような試合を見せるのか。

 まだ観てない方のためにネタバラシはこのくらいにしておいて、とりあえず感想。

やりっぱなしだ〜!

 ほれぼれするくらいやりっ放し。フォローなし。それでもって、説明なし。当て逃げってやつですか? 

 意地悪な見方をすれば、詰め込みすぎの消化不良なのかもしれませんが、最近のやたらとメッセージ性の多い映画に食傷気味の方であれば、なーんにも考える必要のない分、楽しめるのではないかと思います。

 ここ最近、韓国映画が人気ありますが、こういうB級映画もちゃーんと作っているのだと思うとちょっと安心です。やっぱり文化はごちゃ混ぜでないとね。


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アニメ三昧

2001.09.16

 パソコンを触るのは嫌いじゃないけど、取り立てて好きでもない30歳。とりあえず、壊れたものを直すのは億劫です。

 ともあれ日曜日、職場の壊れたMOを交換する作業で低下したモチベーションをあげるため、有楽町に映画を観に行ってきました。今回観たのは『千と千尋の神隠し』と『FINAL FANTASY』の2本です。両方アニメ。しかも邦画。考えてみれば、アニメを観るのは『サウス・パーク』以来です。邦画は……もしかして5年ぶりかも。

 とりあえず感想をば。

『千と千尋の神隠し』

 好きな人は好きなのだろうけれど、うーん、どうなのだろう。

 僕が宮崎アニメをいいできだとは思いつつ、今一つのめり込めないのは、過剰なまでの田舎への幻想を彼の作品に感じてしまうのかもしれません。なるほど、都会の人間関係は希薄なのかもしれませんが、かといって、田舎の人間関係は、それはそれで疲れることだってあるんじゃないかと思います。文明化を全面的に肯定する必要はない一方で、決して、自然な生活を全面的に肯定的なものとして扱う必要もないのではないかというのが、今現在の僕の考えです。少なくとも、特定のベクトルへの過剰な傾斜は僕の好むところではありません。すれてるだけかもしれませんけれど。

 『千と千尋の神隠し』では、『風の谷のナウシカ』の頃に見られたある種の独善性は随分薄れてはいるものの、それでも双子の魔女の設定に依然としてその種の田舎賛歌が見受けられます。

 後、気になったことは、全体的にはすごく丁寧に作られているのですが、ラスト近く、全てに決着をつけようとして、すごく急ぎすぎてしまっているのが残念です。

『FINAL FANTASY』

 技術的はすごいとしか言いようがありません。あれ全部CGなんでしょう。最初は登場人物の動きがぎこちないように感じたものの、それも慣れれば、それほど気になりません。

 とは言うものの、お話としてはすごく子供だましです。映画を観ている途中、何度となく、いかんだろ、それはと一人で突っ込みを入れていました。

 もちろん、SFアクション映画全般に言えるのですが、FINAL FANTASYでは、思いっきり御都合主義的に話が進んでいきます。と言うか、複線の張り方があまりにもちゃち。ネタバラシする気も起きないぐらい、見たまんま。かといって、(言い方は悪いですが)子供向けかというと、決してそうではなく、映像的には明らかに成人を意識しています。このちぐはぐさがたまらないと言えば、そうなのですが……。

 とりあえず、見終わった後の会場が、なんとなく気だるい疲労感に覆われていたのが印象的でした。

 と言うわけで、この週末の映画鑑賞は、僕にとってはかなり物足りなかったです。珍しくロードショーものを観に行くと、こういうことになるわけで……。


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わんす・あぽな・たいむ

2001.09.23

 いまだにスクランブル交差点を一発で横切れない冨倉(特に有楽町と渋谷)。人生何事も回り道主義です。

 などと無意味な悟りを開いている場合ではなく。

 アメリカで大変なことになっている中、西洋美術館で開かれている『肖像が語るアメリカ史』に行ってきました。

 展示数は正直それほど多いとは言えず、また、文学や芸術の分野で活躍した人の肖像画が占める割合も多かったのですが、それでもアメリカ人がどのようなリーダー像を理想としているのかは十分わかります。

 アメリカ人にとっての理想的な指導者とは、失敗を恐れず、断固とした態度によって実行する意志の強さと行動力の持ち主なのでしょう。石橋を叩いて渡る慎重さよりも、石橋を崩しても渡りきる強さこそがリーダーに求められる徳なのではないかと思います。この際、それがいいことなのかどうかという価値判断は停止しますけれど。それは彼らが好む勇壮な風景画にも現れているように感じました。

 とりあえず、今日の日記は、ひねりもなにもなく率直な感想だけ。


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喫茶店から

2001.09.24

 おばちゃんの集団が喫茶店に入ってくると、「あちゃー」と思います。騒々しいのはまだ許せるとして、傍若無人だからな〜。とは言うものの、何かしでかしてくれるのも、圧倒的におばちゃん集団です。

 その日、ぼんやりとしながら喫茶店でコーヒーを飲んでいると、買い物帰りらしいおばちゃん五人組がどかどかと入ってきました。

 入ってくるなり、どすどすと席取りを始め、あたしがまとめてオーダーするから、みんななに飲む? と仕切出す人がどういうわけか二人手をあげ、一瞬気まずい空気が流れたり、注文したものが届くと、えーあたし、チーズケーキ頼んだっけと言いだし、あんたは鳥頭かと突っ込みを入れられたりと、それはまぁかしましいこと。

 が、しかし、そんなことは序の口でした。

 おばちゃんの一人が、バッグの中からミネラルウォーターを取り出しました。ヴォルビーな例のあれです。すると、もう一人が、やっぱりゴソゴソとバッグの中からミネラルウォーターを取り出しました。今度出てきたのは、岩清水なあれです。さらにもう一人が、南アルプスを取り出しました。

 こうなると僕の期待はいやが上にも高まります。まさか、やるのか、とワクワクしながら見ていると、一人が店員さんにグラスを要求しました。

 出されたグラスに、まずは一人目がなみなみとヴォルビーを注ぎ、全員でまわし飲みを始めました。全員に行きわたった後、今度は岩清水を注ぎ、やっぱりそれぞれ一口ずつ口に含んでは隣にまわしました。

本当にやったよ、品評会!

 困惑する店員さんが見守る中、即席の試飲会を始めるおばちゃん集団。なにも喫茶店でやることなかろうにというごもっともな突っ込みは、彼女達には通用しないのでしょう。

 ちなみに、おばちゃん達が出した結果は、海洋深層水が一番おいしいとのことでした(付け加えておくと、値段に難ありとのこと)。

 でも、僕は喫茶店のレモン水の方がおいしいと思うのですけれど。


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母倒れる

2001.09.26

 母倒れるの一報が入ったとき、普段、親不孝なことばかりしている僕でも、さすがに慌てました。

 母は元々体がそれほど強い方ではなく、比較的疲れやすい(特に気疲れをすることが多い)体質で、以前からちょっとした外出の後でも寝込むような人でした。

 とは言うものの普段から「あたしゃ、若いうちに死ぬよ」と言っているような人で、こういう人はたいていの場合、長生きするものと相場が決まっています。と言うか、短命とか薄幸という言葉は全く似つかわしくない人です。

 しかし、さすがに倒れたと聞くと慌てるものです。特にうちは家系的に

どうでもいいことは大げさに騒ぐ、重大事は人知れず葬ってしまう

という極悪な性格の持ち主ばかりです。「倒れた」が意味することが「とりあえず騒いどけ」なのか、「重態を隠すための婉曲な表現」なのか判断に迷うところです。

 結論からご報告しましょう。

「倒れたんじゃなくって、転んだのね」

 その夜、彼女は人の家で電灯もつけずに徘徊したあげく、階段から転げ落ちて、右足のかかとを骨折したというのが事の真相です。

 確かに55歳。お母さんと言うよりは、すっかり「おばあちゃん」が板に付いた年齢。骨折と言っても馬鹿にできません。年をとってからの骨折は、後々まで響くから……。

 が、しかし!

「二階から落ちても、ちゃんと二本足で着地したよ。自分のバランス感覚に惚れ直したね」

と豪語する母親に娘と息子は同情心も吹き飛び、

「自宅ならともかく、よそ様の家で電灯もつけずに歩き回るな!」

と厳重注意を与えております。

 とりあえず、大したことなくて良かった。


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ヤマカシ

2001.09.30

 高所恐怖症のくせして、なんとかと煙は高いところに登りたがるのなんとかな冨倉です。『ヤマカシ』を観てきました。

 フランス語のヒップホップがあんなに格好いいとは思わなかった。それでもって人間が自分の力だけで跳躍したときの滞空感が気持ちよかった。以上、感想おしまい。

 とは言うものの、この2つだけでも観に行く価値は十分あるのではないかと思います。ま、確かにストーリーは古典的な義賊物、それでもってお偉いさんは使い物にならないというステレオタイプな人物設定など、かなり手垢の付いた内容ですが、とりあえず滞空感が気持ちよすぎです。小難しいことを考えず、馬鹿になって映画を楽しみたいという気分の時にはお勧めです。


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とみくら まさや(vzx01036@nifty.ne.jp) $ Date: 2001/09/11 $