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10.25 : はずまない会話
エスかエムかと聞かれれば、うーん、エスも捨てがたいなぁと思いつつ、もっぱらエムを選ぶ冨倉です。いやまぁ、服の話しなのですけれど。エスだとお腹のあたりが、きつくなったですよ。
などと久しぶりの日記にもかかわらず、相変わらず唐突な書き出しですけれど、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
ともあれ、散髪屋さんです。
お洒落とはほど遠いところで生きている34歳(独身)。いまだに散髪屋さんで自分の髪型をどのように指示すればいいのか、よく分かっていないと言えば、あなたはどう思われるでしょうか。しかし、あなたがどう思われようと、やっぱりよく分からないわけです。したがって、散髪屋さんで髪を切るときのやりとりと言えば、
「前髪は眉にかからないようにしますね」
「ええ……」
「後ろは伸びた分だけ切ってしまいますね」
「あ、はい……」
「もみあげも切っちゃいます」
「ご自由にお願いします……」
などと自分の髪なのに、完全にいいなり状態になってしまうわけです。
一応自己弁護をさせてもらうと、散髪屋さんでうまく話せない理由としては、
以上のようにいかんともしがたい条件が重なってしまっているから、なすがままにならざるを得ないわけです。
そんなある日。
いつものように言われるがままに髪を切ってもらっていると、隣の席にお客さんがやってこられました。眼鏡を外しているためぼんやりとしか分からないのですが、雰囲気的にはどうやら僕と同じくらいの年齢です。34歳にもなっていまだにジーパンでうろちょろしている僕とは違い、スラックスにジャケット姿。立派な身だしなみです。
よく、「人間は外見じゃない。中身で勝負」と言いますが、30代にもなるとですね、外見にもきちんと気を使えるような中身ってのも世間一般では大切なポイントになるわけです。加えて言えば、中身の充実度が外見にもにじみ出るのが30代ってものです。
ともあれ。
隣のお客さんは、颯爽と席に座りられました。そんなお客さんに散髪屋の店員さんもてきぱきと前掛けをかけ、はきはきした声で
「今日はどうされますか?」
と聞かれました。
すると、隣のお客さんは、少し間を開け、しっかりとした声で
「アーノルド風に!」
店員さんの凍り付く雰囲気がこちらまで伝わってきます。おずおずと店員さんは
「アーノルド風ですか?」
と聞かれました。それに対して隣のお客さんは、
「はい。アーノルド風に」
とうむを言わせない口調でおっしゃいました。
あーのるど風?
これはこれで、会話が弾まなくなるわけで。