さて、文章は大きく分けて2つの要素からなっています。第1は、文意と言われるもので、表わそうとしている意味内容のことであり、第2は、文体と呼ばれるもので、文章の様式です。
通常、この2つの要素の関係は、中身と外見、言いかえれば、文意が本体であり、文体はあたかも文意が身にまとっている衣装のようなものというようなイメージで説明されることが多いわけです(右図)。
このイメージで言えば、衣装である文体が変わっても、文意は変わらないということになるわけですが、しかし、本当にそうなのでしょうか。文体と文意はもっと分かちがたいもの、文体が変われば文意も当然に変わってくるのではないでしょうか。
そこで、ここでは幾つかの例を取り上げながら、いかに文体が文意に強い影響を与えているかの実証を行いたいと思います。